ヴォグゾール・アストラ2.0 CDTi バイターボ
公開 : 2012.08.31 16:56 更新 : 2017.05.29 18:29
■どんなクルマ?
これまでにあった最も強力なディーゼル・モデルよりも10%以上多くなったパワー、トルクを持つモデルがこのヴォグゾール・アストラCDTiバイターボだ。実に刺激的に聞こえるスペックである。
アストラCDTiバイターボは、フォルクスワーゲン・ゴルフGTDやセアト・レオンFR、そしてアルファ・ロメオ・ジュリエッタ・マルチジェットをライバルとする4気筒5ドア・ハッチ・モデルで、低いCO2排出量を持つモデルでもある。
しかし、ガソリン・エンジンのホット・ハッチとの住み分けはどうなっているのだろう。それは永遠の課題かもしれない。
■どんな感じ?
192bhpと40.8kg-mのトルクは、BMW 125dよりは劣るかもしれないが、十分過ぎる数値だ。
このCDTiバイターボ・エンジンは、現行のアストラがデビューした2009年以降、初めてのフェイスリフトを受けた時に追加されたエンジンである。その時に加えられたエンジンの中でも、このパフォーマンス・ディーゼルの追加は、最も価値のある追加と言えるだろう。
とは言え、このエンジンは、シーケンシャル・ツイン・ターボでもなく、ツイン・インタークーラーも、アルミニウム・ピストンも、新しいコンロッドも、そして新しいカムシャフトも備えていない。それは、紙の上ではいささか頼りないスペックに見える。
しかし、実際には、そのレスポンスとフレキシビリティは、そのパフォーマンス・キャラクターを奪うほどではない。とはいうものの、このエンジンにはドラマや魅力がない。しかも、荒っぽいサウンドも気になる。パフォーマンスについても、数値的には168bhpのゴルフGTDの0-100km/h8.1秒や、163bhpのアストラCDTiの8.5秒より速いはずなのだが、そうは感じられない。右足に込める力に反応してトルクが出てこないのだ。
サスペンションは、’ツアー’モードであれば、ゴルフと比較してもしなやかさを持ち、英国の2級国道でも十分なステアリング制御とロール・コントールを見せる。
’スポーツ’モードにすれば、よりシャシーはレスポンスに長けるようになる。しかし、乗り心地は当然ながら悪くなる。
どのモードでも、標準的なアストラ・ハッチバックよりもきちんとしたシャシーにもかかわらず、正しいチューニングがされていないような気がする。ステアリングも、正確でダイレクトではあるが、コミュニケーションに欠けるきらいがあった。
このクルマは、手練の職人が運転すべき類のクルマかもしれないが、決してエンターティナーではない。
■「買い」か?
ゴルフGTDよりも1,500ポンド(19万円)も高いにもかかわらず、ゴルフGTDよりも惜しい。また、BMW 125dのMスポーツのようなスリルを味わうこともできない。
熱心なドライバーでなければ、アストラCDTiバイターボの高いディーゼル性能を引き出すことはできないだろう。
(マット・ソーンダース)
ヴォグゾール・アストラ2.0 CDTi バイターボ
価格 | 24,095ポンド(298万円) |
最高速度 | 227km/h |
0-100km/h加速 | 8.0秒 |
燃費 | 19.6km/l |
CO2排出量 | 134g/km |
乾燥重量 | 1475kg |
エンジン | 直列4気筒1956ccツインターボ・ディーゼル |
最高出力 | 192bhp/4000rpm |
最大トルク | 40.8kg-m/1750rpm-2500rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |