BMW 340i
公開 : 2015.07.27 23:50 更新 : 2017.05.23 10:25
明らかにここが変わった、という点を見つけるのは容易ではないものの、表面処理やフィッティングは先代のそれを大いに凌いでいる。細やかな部分をキュッと締めあげ、全体的にスマートな印象をもたらしている。
クローム・パーツによるアクセントも見事。モダンで前衛的というよりも、クラシックな雰囲気を創りだしているため、乗っていて落ち着く。低い位置まで処理の抜かりがないことも高評価の対象となる。
邪魔だった取り外し可能なフロント・カップホルダー・カバーもなくなった。変わりにカチリとした作りのリッドがセットされた。すでに評価の高いプロフェッショナル・メディア・インフォテイメント・システムの動作が速くなっている点も良い。
しかし気になるのは、やはり動力性能に関する点だろう。
6気筒エンジンは、低い回転域から驚くほど力強い。低中回転域でも柔軟であり、高回転域まで高らかに回る。速度域を問わず、頼りがいのあるパワー感が味わえるのはやはりいい。0-100km/hタイムはE46 M3と同等のレベルに達しており、低回転域の加速力は一部凌いでいる。
それでいて燃料消費率が優れているというのは、やはり時代の遷移を感じざるを得ない。8速ATの場合であれば14.2km/ℓはさしたる努力をせずとも上回ることができるのだから。
惜しいのは、6気筒らしいたおやかなエンジン音が耳にできない点である。そんなことどうでもいい、というオーナーも中にはいるかもしれないが、‘スポーツ・サルーン’ を謳うからにはやはり期待するところである。
したがって、車内に届く音はごく最小限。よって終始快適だということもできる。ただ、初期のダンピングは包容力に欠け、グリップ・レベルも際立っているとは言いがたい。もちろんBMWらしい機敏なハンドリングは健在なのだが、思わず虜になってしまうようなものではなくなっているとも感じる。
主な理由として考えられるのは、可変スポーツ・ステアリングのデキの悪さだ。動力性能の足を大きく引っぱっているのは明確であり、装着は勧められない。
高速道路の速度域における仕事には不満はないのだが、タイトなコーナーが続く峠道では完成度の低さを感じずにはいられない。どうしても舵角と実際の挙動とのあいだで、わずかながらのズレが生じてしまうのだ。
■「買い」か?
実力者が揃っているこのカテゴリーゆえ、ミュンヘンのコンパクト・エグゼクティブ・サルーンは、進むべく方向に迷っているようだ。
ただし、エンジンとインテリアが一定以上の満足度をもたらしてくれるため、オプションを注意深く選びさえすれば、酷い印象はもたらさないだろう。
(マット・ソーンダース)
BMW 340i
価格 | £39,505(758万円) |
最高速度 | 249km/h |
0-100km/h加速 | 5.1秒 |
燃費 | 14.7km/ℓ |
CO2排出量 | 159g/km |
乾燥重量 | 1615kg |
エンジン | 直列6気筒2998ccツイン・ターボ |
最高出力 | 327ps/5500-6500rpm |
最大トルク | 45.9kg-m/1380-5000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |
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