インフォテイメント・システムは指をスライドさせるスマホ操作を採り入れたタッチパネルが新しいが、メインとなるナビが、機能も地図表示も古びたDVD方式のままなのが、残念といえば残念。

走りはひと言でいって素晴らしい。

とくにシルクのように滑らかで、フルロック付近まで利きが強力なのに過敏ではない電動パワー・ステアリングのフィールは絶品といってよい。乗り心地もフラットで快適。

今回の試乗車はオプションの大径19インチを履いていたが、目地段差を通過するときの突きあげにわずかに角が立っているかも……と思わせる以外、低扁平タイヤに起因すべきクセをほとんど感じさせないのはたいしたものだ。

アルミの比率が高いボディといっても、XEの車両重量がライバルに比して特別に軽いわけではない。また ‘50：50’ をうたう前後重量配分も、ご承知のとおり、BMWと似たようなものである。

それでも、ジャガーの体感ノーズの軽さはBMWのそれをしのぐ。この味わいはおそらく、ステアリングのみならず、前後のグリップバランスを含めた巧妙な調律によるものだろう。軽めの操舵力のままヒラヒラとノーズをインに向ける軽やかな回頭性は、なるほど ‘ジャガー・テイストの現代的解釈’ としてひとつの見識に達している。