トヨタ・シエンタ
公開 : 2015.08.03 23:50 更新 : 2021.01.28 17:58
ステッチも縫い込みもすべてイミテーション……と書くと、なにか揶揄しているように思えるかもしれないが、そうではない。
その絶妙なツヤに革シボ、ステッチや縫い込みの質感にいたるまで、驚くほどリアルなのだ。最新の樹脂成型技術にあらためて驚かされる。
今回は市街地の短時間試乗にかぎられたので、走りについて多くを語ることはできないが、とくに1.5ℓのモデルは柔らかでフラットな乗り心地、全域で抑制の効いたダンピング、適度な接地感とリニアリティ、不足のない剛性感……など、なかなか絶妙なサジ加減でバランスよく仕上げられた印象である。
ただ、1.5ℓのパワートレインは日常に不足はなくても、追い越し加速に少し痛痒感があるのも否定できず、頻繁に大人4人程度を乗せるような向きには物足りない可能性がある。
ハイブリッドはその点でワンランク力強いが、1.5ℓより大人ひとり分増えるハイブリッドの重量(しかも後軸側の重量増が大きい)が標準15インチ・タイヤには荷が重いのか、ハイブリッドではグラリと傾くロール・スピードの速さと、良好な接地感がわずかにスポイルされるステアリングが気になった。
こうしたハイブリッドのクセはオプションの16インチ・タイヤ装着車でそれなりに改善されるので、ハイブリッドがほしいなら、16インチを考慮する価値はあろう。
ただ、16インチは8万円強というオプション価格がシエンタのクラスとしてはハードルが高め。最小回転半径が明らかに大きくなってしまう(5.2m→5.8m)という弱点もあるが……。