■どんな感じ?

長いストレートをともなうロード・アメリカ・サーキットにて649psのエンジンを解き放てば、脳は痺れたような感覚に陥る。

ストレートでは240km/hに達し、ファースト・ターンの手前で一気に113km/hまで減速する。キャデラックが公表する322km/hという最高速度に達するのは、体感的にも一瞬に感じる。

ラップ・タイムの短縮を目指すには、スポーツかトラック・モードのどちらかを選ぶことをおすすめする。デュアル・クラッチの変速は素早く、シフト・ダウンもほんの一瞬でこなしてしまう。回転の合わせ方も絶妙だ。

もし仮に、熱狂的なドライビングを目指すならばステアリングに備えつけられたマグネシウム製のシフト・パドルを前後に弾くことをおすすめする。

ブレーキは実に頼り甲斐がある。周回を重ねても、効きに変化がないのも特長である。買ったあとに別のブレーキに変えようとも思えない。

限界付近でのコーナリング・バランスもお見事。ハンドリング特性が速度に依存することも少なく、マグネティック・ライド・コントロール・ダンパーの各モードにおけるキャラクターの切り替えも巧い。

より硬いモードにして悪路を走ったとしても、凹凸を丸みを帯びた情報に変換してくれるのも良し。高速巡航時にはより快適なモードにすることを勧めるが、サスペンションはもちろんミシュラン製タイヤのもたらすしなやかさも特筆ものである。