ランドローバー・ディフェンダー110アドベンチャー
公開 : 2015.08.07 23:40 更新 : 2017.05.29 19:17
もし肘をサイド・ウインドウの縁に置きたいのであれば窓を開ける必要があるし、クラッチ・ペダルの重みはまるでジムのウエイト・マシーンのようだ。
2列目のシートは2人の子どもにとっては快適ではあるが、大人であれば2人がぎりぎり、3人はアウトである。3列目の2座の方が意外にも余裕はある。
ステアリング、フロア、ルーフ・ライニングにはレザーがあしらわれており、このおかげで質感は高い。
フォードの2.2ℓ 4気筒ディーゼル・エンジンに関してはいいニュースばかり。低回転域から実に力強く、6速マニュアル・トランスミッションとの相性も(1速がショートであることを除けば)いい。
ギアから手に伝わる感触は硬く引っかかりがあるものの、高回転域の不快なノイズやバイブレーションもきちんと抑制されている。
乗り心地は快適さとは程遠いが、これよりもホイールベースが短いモデルに比べて安定感がある。とはいえどもやはりシャシーは古典的であるゆえ、ラフな路面では相応の振動が生じる。
それはそうだ。この数十年、メカニカルな部分の変更がほとんどなされていないのだから当然といえば当然である。特に速くもないし、ダイナミックでもない。洗練されているわけでもなければ際立って快適でもない。
ただ、ディフェンダーを今買う向きにとっては、さしたる問題ではないともいえる。酷使するか、あるいはデザインに惚れ込んで買うクルマであるのだから、洗練性はあまり重要ではないのだ。むしろ、バンプを踏み越えるためにバウンドするディフェンダーが愛らしいくらいなのである。私を含めて。
荒野を走りぬけ、餌を集め、動物をトランスポートし、オフロードでトレーラーを引っ張るときなどは、ほとんどの4×4でも敵わないほどのタフネスを見せつけてくれる。プロテクターや実用的なアクセサリーを携えたディフェンダーは、要注目のスペシャル・エディションでありながら、もっとも実用的な ‘はたらくクルマ’ なのである。