ベントレー・コンティネンタルGT3-R

公開 : 2015.08.11 23:50  更新 : 2021.10.11 13:44

トラフィックが減り、前方がクリアになったことを確認したら、そこから先にあるのはまさに別世界だ。V8Sとの重量差が100kgでしかないとは信じられないほどに、GT3-Rはまず軽さという魅力を主張してくる。580psのパワーはまさに圧巻。高速域まで一貫して続くスムーズさにも感動させられる。ボディーやサスペンションの高い剛性は、スポーツカーとしての走りを魅力的なものにする第一の理由であり、それは同時に21インチ径のタイヤを装着し、よりハードな方向へとエアサスペンションのセッティングを変化させたはずのフットワークであるにもかかわらず、ラグジュアリーツアラーとしての重厚で快適な乗り心地を生み出している。4段階にセッティングを変更することができるエアサスペンションは、オンロードではハードな方から2番目がベスト。時には最もハードなセッティングを選ぶことにさえも、一切の躊躇はない。

コーナリングも実に素晴らしいマナーだ。ステアリングの正確さと、専用のブレーキシステムに対しての信頼感、そして何よりフルタイム4WDの駆動方式こそが、GT3-Rの走りをさらなる高みへと導いている。ボディーサイズをハンデとは感じさせない、いわゆるマン・マシンの一体感は、このGT3-Rがライバルに対して持つ、最大のアドバンテージといえるのではないだろうか。サーキットで高速コーナーをクリアしてみれば、そもそもコンティネンタルGTシリーズが持つ優れたエアロダイナミクスが、さらに向上していることも容易に確認できるだろう。「GT3にインスパイアされた」というベントレーの言葉は、ただ単にイメージ的な表現ではなく、実際にモータースポーツからの技術的なフィードバックを得ていることを意味していたのだ。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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