木曜日、2:19 PM。MIRAハンドリング・サーキット

日が暮れる前に、高速ハンドリング・サーキットにてそれぞれのハンドリングを試すことにする。

まずはじめに乗ったのはGT3 RSの方。かなりわくわくしている。

敏捷性はかなりのもの。コーナリング・マナーは驚くほど優秀である。腰が抜けるほどの乗り心地の良さにも一杯食わされる。レスポンスはスタンダードなGT3よりも鋭い。

限界域ちかくの挙動はどちらかというと温厚。もちろんシビアではあるが、いかなるドライビング・スタイルにもきちりと対応してくれる。

113km/h、3速。325/30 ZR21のタイヤは路面をガッチリと掴んでいる。コーナー中腹、右足の力をそっと抜いてやればさらりとオーバーステアに転じる。

これに比べると675LTは、テクニカルなダンロップ・サーキットのうえではやや生真面目な印象。もちろん優秀なクルマではあるのだが、RSと比べると細やかな調整をしづらいと感じる。

マクラーレンは、ベースとなった650Sのサスペンションとステアリング・システムをよりシャープな反応にするよう力を注いだ。横方向の強烈な粘り強さに加え、フロント部の確固たる安定感がコーナリング時の売りである。

しかし、ここサーキットにおける675LTはちょっとばかし一次元的に感じる。確かに速いことは認めるのだが……。

さらにマクラーレンに一言。マクラーレンがMP4-12Cをデビューさせた際、E-デフは必要ないと明言した。650Sの時だってそうだ。これに対してわれわれは賛成しない。675LTに乗って初めて、マクラーレンの意見にも賛成できそうかな、と思えてきたのだが、やはりトルク・ベクトリングESPシステムは、純粋な楽しさを与えてくれるレベルにはない。

車体側と密な関係を築いているとは思えないのだ。