ポルシェ911GT3 RS vs マクラーレン675LT
公開 : 2015.08.14 23:50 更新 : 2017.05.29 19:30
月曜日、8:39 PM。イングランド北東部、国道169号。ソルターゲート・バンク
2台のステアリングを交互に握ったあと、心地良い疲れが身体を包んでいた。決してモーターウェイは空いているわけではなかったが、GT3 RSに乗ってストレスを感じないのは、日常的な使用でも優れたマナーを有しているからだ。
私とマット・プライヤーが列をなして走っていると、となりの車線のワーゲン・バスの後席に乗っている子どもが熱心にわれわれのクルマを見つめているのがわかった。
オレンジ色のポルシェをちらりと見たあと、マット・プライヤーがパタパタとリア・ウィングを動かすのを見て大喜び。現代っ子にはこんなギミックが喜ばれるのかもしれない。
その後、数台の取り締まりをやり過ごして辿りついたのはノース・ヨークシャー・ムーアズ。21年前、バンピーかつツイスティなこのコースは、われわれの先輩テスターがマクラーレンF1をテストした舞台でもある。
このコースでまずはじめに気づくのは675LTの方がわずかに室内が静かである点だ。同時に衝撃の吸収も675LTの方が巧い。ロードカーとしての楽しさはこちら。サーキット上の能力のたかさはGT3 RSの方だ。
火曜日、10:43 PM。ノース・ヨークシャー・ムーアズ、ブレイキー・ロード
昨日は675LTの方に長く乗ったため、今日はGT3 RSから乗る。
先日ほど速く感じられないのは、きっと675LTのターボによる助力を受けたエンジンに慣れてしまったからなのだろう。きっとサターンVに乗ったあとだってそう感じるに違いない。
サーキットでは舌を巻いたステアリングも、荒れた路面のうえではやや神経質に感じる。常に両手でしっかりとステアリングを握っておかなければ怖いし、思った方向に進むのにも集中力が不可欠だ。
サスペンションが担う、ショックの吸収もあまり好意的ではない。ダンパーをもっともソフトなモードに固定して思い切り攻めこむと、リアが底づきするような感覚にとらわれる。