シビック・タイプR vs VWゴルフR vs ルノー・メガーヌR.S. 275トロフィー
公開 : 2015.10.02 23:50 更新 : 2021.03.05 21:35
反面、4WDゆえの辛い側面もある。ゴルフRの1476kgという車重は、トロフィーよりも約100kg重いのだ。ちなみにシビックはトロフィーよりも6kg重いのみだ。
それゆえにフォルクスワーゲンは、ノルドシュライフェのタイムをはなから気にしていない(ネットの情報によると8分15秒なのだそうだ)。
今回のテストにおいて、われわれがさらに気になるのは、ドライビング・エクスペリエンスのみならず、いかに生活しやすいかである。
これに関しては、トロフィーが結論を出しやすい。というのも、トロフィーの内装は3台のうちもっとも粗悪なものであるからだ。
二流のマテリアルに違和感だらけのエルゴノミクス、理解不能のインフォテイメント・システム……。唯一褒められるものといえばレカロ・シートとアルカンターラ・ステアリングだけという残念すぎる結果である。
スタンダードのメガーヌに比べると、もちろん特別な雰囲気はあるものの、シビック・タイプRの方がワンランク上。シビックに備えつけられるレカロ・シートのマウントはガソリン・タンクの位置関係上好ましくはないが、ペダルの配置にはゆとりがあるうえ室内も落ち着く。
ただしこちらもエルゴノミクスに問題があるうえ、ステアリング上部がメーターを遮るのも気になる。道路状況のアナウンスをオフにするのも一苦労であった。
こういった不満を一切感じずに済むのはフォルクスワーゲンの素晴らしいところ。
シートのサポートは他2台に比べると今ひとつだがシート・ポジション、内装素材の質感、インテリアのレイアウトにはまったくもってケチのつけようがない。ことさらに ‘R’ であることを主張しすぎないのもいい。悪くいえば特別な感じがしないということになるのかもしれないが、子どもっぽいよりかは余程いい。
外観もしかり。他2台にくらべるとかなり控えめだ。“オレはナンバー1なんだ!” と肩で風を切っている感じがしないのは、ある種の美学だと思っている。
3台のなかでもっとも ‘悪目立ち’ するのはシビックだ。
大型のフロント・スプリッターにリア・ディフューザー、サイドのスポイラーなど、見ているだけで胃がもたれてしまいそう。ホンダの言い分を聞くかぎり、きちんとしたダウンフォースを生みだすだけでなく、エンジン・ベイの冷却も行ってくれるとのことなのだが……。
対するトロフィーは、第1にアクラポビッチ製マフラーが、第2に車両価格をおよそ£30,000(579万円)まで押しあげる19インチ・アロイ(タイヤはミシュラン・パイロット・スポーツ2)が特徴となっている。