BMW 320d Mスポーツ

公開 : 2015.09.01 23:50  更新 : 2017.05.23 10:25

一方、瞬時の入力に対する吸収はとてもうまい。ほとんどの衝撃を一瞬にして飲み込んでくれるのだ。ただ、グランド・ツアラーとしての資質を求めるのであれば、このMスポーツではなく、より小さいホイールを履いたSEトリムの購入をおすすめする。

ついでにサーキットも走らせた。バランスはいいのだが、3シリーズは他にくらべるとわずかにグリップの限界が低いと感じる。

しかし50:50の前後重量配分は単なるマーケティング上の決めゼリフではないとも感じる。バランスがいいことが、これほどコーナリングに影響を及ぼすのかと感心した。

ステアリングは良い点と悪い点が混在している。サーボトロニック・セットアップなるこのシステムは、高速域では重みに欠け、特にスポーツ・モード時には抵抗が大きいのだ。

一方、可変式のオプションではなく標準のステアリングを選べば、最適なギアリングを披露してくれる。常にリニアであり正確性にも満足できる。

Mスポーツ・ブレーキなるオプションのブレーキはあまり素晴らしいとは思えなかった。制動力には不足はなく、イニシャル・フィールは悪くないのだが、徐々に踏力を増していけば途端にペダル・フィールに違和感を覚えるときがあるのだ。

大径のタイヤに起因するロード・ノイズは高速域でかなり目立つようになる。はっきり言ってジャガーXEの方が静かだ。これまで問題となっていた、ミラー起因のウインド・ノイズも解決されていない。

キャビンは控えめな変化ではあるが、グロス・ブラックのサーフェスと追加されたクローム・パーツは明らかに高級感を底あげしている。スイッチの押し心地は柔らかでありながらしっかりとしたコシもある。iDriveは使い勝手がよく、クラスを牽引するレベルのキャビンに身を包まれているという満足感もある。

ドライビング・ポジションはこれまでとまったく変わらず。したがって良好。一方のペダル配置はやや違和感が有り、ランバー部の調整幅がもう少し大きければと思う。大人4人が座った場合の室内はゆとりがあり、荷室容量はCクラスやXEよりも大きく確保されている。

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事