ジープ・レネゲード・トレイルホーク

公開 : 2015.09.07 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • MySkyのルーフパネルも収納できるブートスペースは、後席全倒で1440ℓに広がる。

  • オート、スノー、サンド、マッド、ロックが選択できるジープ・セレクテレインシステム。

それがおそらくはオンロードの乗り心地にも効いている。トレイルホークは当たりの柔らかいオール・シーズン・タイヤが標準となることもあるけれど、悪名高い西湘バイパスの目地段差を苦もなく通過する。バネは硬めながらハーシュネスは皆無だ。静粛性も高い。1835kgもある車重も重しになっている。

2.4ℓ自然吸気のタイガーシャーク・エンジンは、最高出力175ps/6400rpm、最大トルク23.5kg-m/3900rpmを発揮する。クライスラー系のブロックに、フィアット独自の可変バルブ・タイミング&リフト機構を吸気バルブに組み込んだシングルカム4バルブである。

ZFの9速オートマチックは超ワイド・レインジで、100km/h巡航はトップで1500rpmに過ぎない。ディーゼル並みの低回転で、室内はたいへん静かである。風切り音も低い。変速プログラムは燃費重視で、電子制御に任せていると少々かったるい。フラットアウトにしてもキックダウンしたがらない。速く走らせるには左手をこまめに動かして、マニュアルで変速する必要がある。防音材が音の侵入を防いでいるけれど、6500rpmまで回してやるとイタリア系の乾いたサウンドを控えめに発する。

オンデマンド4×4は燃費を稼ぐために基本的にはFWDで走っている。4WDをマニュアルで選ぶこともできる。4WD走行にすると、乗り心地にいっそう落ち着きが出る。

ハンドリングは安定志向で、イタリアの血が騒ぐタイプではない。そのかわり、ジープ愛好家が期待するオフロード性能を備えている。アプローチ・アングル30.5度、デパーチャー・アングル34.4度とされる。たとえばランドローバーの最新ディスカバリー・スポーツは、前者が25度、後者が31度で、クラスが異なるので正当な比較とはいえないけれど、これを上回る。「乗用車派生の4×4モデルでは得難いスペック」とメーカーが主張するだけのことはある。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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