ポルシェ911カレラ4 GTS
公開 : 2015.09.10 23:40 更新 : 2017.05.29 19:04
また、ダイナミック・エンジン・マウントを含むスポーツ・クロノ・パッケージは、トラクションの向上とともにエンジンの縦方向の動きを抑制する。リア・アクスルの不用意な動きを封じ込めることで、均等なトラクションを生みだすのだ。
中を見わたせば、ビスポークのアルカンターラ・トリムとスポーツ・シートが目につく。
つや消しの黒に塗られた20インチの鍛造アルミ・ホイールはセンターロック式となり、その他にも同色のパーツ類がエクステリアを引き締める。‘かっこいい’ と思わず漏らしてしまった。
カレラSにオプションを組み合わせることで、GTSと同様のスペック・アップは可能なのだが、ワイド・フェンダーとインテリア変更はむずかしい。
PDKを組み合わせる4WDのテスト車両の価格は£98,679(1,823万円)。忠告しておくが、オプションを追加する前の価格である。これにセラミック・ディスク、スポーツ・バケット・シート、レザー・トリムを含む数々を追加することで£114,005(2,106万円)なる価格を掲げていた。それでもGT3よりは£35,000(647万円)安価であり、なおかつ稀少性を考えれば、前にもいったように不当な値上げではないと感じるのだが……。
■どんな感じ?
高速域でさえ極めて扱いやすい。フラット6はレッドラインあたりで震えるような快音を奏でるため、制限速度を守るのに必死である。並外れた粘りづよさゆえ、グリップの限度に近づくのはサーキット走行時くらいのもの。ただ、分別ある速度域で楽しさに欠けるなどということは全くない。
そう感じるのは、ほどほどに重みがあり精緻でリニアなステアリングのおかげだろう。手のひらにはたっぷりと情報が伝わり、速度やコーナリング・アングルが増すのに比例してその情報量は増してゆく。
息が詰まるほど堅苦しいわけではなく、たとえばロータリーの出口などでアクセルを踏む力を強めれば、なめらかに後輪側が流れ始めるのがわかる。手の内感もある。エネルギッシュでもある。
比較的ロング・トラベルなアクセル・ペダルは、細やかな操作がしやすい。踏みこむ量と湧き出すパワーに違和感がないとでもいおうか。市街地でカーボン・セラミック・ブレーキが効きすぎないのも親しみやすく感じる理由である。