アウディA4、フランクフルトでワールド・プレミア
公開 : 2015.09.15 22:13 更新 : 2017.06.01 02:05
5代目となる最新のアウディA4が、フランクフルトでワールド・プレミアを果たした。
先代の発展形であるエクステリア、モダンなインテリア、大幅に改良されたガソリン/ディーゼル・エンジン、新開発のシャシーなどがこのモデルの目玉だ。
アウディのデザイン・チームを率いるヴォルフガング・エッガーが、2014年にジウジアーロに移籍するのに先立ってデザインされたA4を実際に見てみると、BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスに比べてフォーマルな外観を選んだことがわかる。
アウディにとってもっとも大きなマーケットである中国やドイツ、アメリカのカスタマーの意見に耳を傾けた結果なのだそうだ。
ワイドになったシングル・フレーム・グリルや、LEDデイタイム・ランニング・ライトをそなえる新型のヘッドライト、クラムシェル形式のボンネット、大径のホイールハウス、フラットになったルーフ、グッと張り出したショルダー部分、ボディ・サイドの深く彫り込まれたライン、アウディらしいLEDグラフィックが仕込まれたテールライト、厚みのましたリア・トランクが特徴だ。
アウディが強調するのは、すべてが新しくなったボディ・パネルだ。エアロダイナミクスに最大の注意が払われたとのころで、車体底部を全体的に覆ったアンダートレイやリア・ディフューザーなども、クラスを牽引する抵抗係数=0.23の実現に繋がったという。
ボディ・サイズは全長が4726mm、全幅が1842mm、全高が1427mm。先代より25mm長く、16mm幅広に、全高はそのままということになる。
メルセデス・ベンツCクラスに比べると41mm長く、32mmワイドで、13mm低い。アウディの最新のMLBプラットフォームを使用することでホイールベースは+12mmの2820mmとなる。
要するに先代より大きくなっているのだが、車重は最大で120kg減。熱成形された高強度鋼をボディ・ストラクチャーに使用し、ルーフを含む様々な部分にアルミニウムを使用したことが、軽量化に寄与した最大の要因である。
外観の多くは先代と共通しているのに対して、内装は非常にモダンになっているとアウディは自信をもっている。
前席の頭上のスペースは+24mm、ショルダー・スペースは+24mmに及ぶのだそうだ。ホイールベースが長くなったこともあり、リア・シートの足元は23mm延長されている。さらにシートを再設計することによって、快適性を底上げするとともに、先代よりも9kg軽くなっている。
アバントの場合、荷室容量は15ℓアップの505ℓとなり、40:20:40で分割可能な標準の後席をホールドすれば1510ℓまで拡大可能なのだそうだ。ちなみにBMW 3シリーズの荷室容量495ℓ、メルセデス・ベンツCクラスの荷室容量は490ℓ。
カスタマーは本格的なオプションを選ぶことも可能。12.3インチのデジタル・インストゥルメント・パネルや8.3インチ・モニター、携帯電話用のワイヤレス充電装置、ラゲッジ・コンパートメントを開くためのセンサー・コントローラー、バング&オルフセンのサウンド・システム、タブレットで操作できる後席用エンターテイメント・コントローラー、LTEによるインターネット接続が可能な最新式のドイツ製マルチ・メディア・インターフェイスなどが代表的な装備だ。
代表的な安全システムとしては、典型的な走行速度の領域で事故を防ぐアウディ製プリ・センス・シティ・システムは標準。フロント・ガラス上のステレオ・カメラ・モニターが道路状況を観察し、40km/hまでならば自動でブレーキを掛けてくれるというものだ。
エンジンは、4気筒ガソリン・ターボが3展開、4気筒ディーゼルが2展開、V6ディーゼルが2展開となり、全ユニットはユーロ6に適合済み。パワーは最大で25%、燃料消費率は最大で21%向上することに成功したのだそうだ。
1.4ℓ 4気筒ガソリン・ユニットの最高出力は150ps。先代のベース車が搭載していた1.8ℓ 4気筒ガソリン・エンジンよりも30psの出力向上となる。
0-100km/hタイムは8.9秒、最高速度は211km/h、複合サイクル燃費は20.4km/ℓ、CO2排出量は114g/kmというのが、オプションのSトロニック・デュアル・クラッチオートマティック・ギアボックスを組み合わせた際の公表値だ。
もっとも注目すべきは、改良が加わった2.0ℓの4気筒ガソリン・エンジンだ。2.0TFSIと呼ばれるこれは、チューニングの度合いによって190psと251psの2種展開となり、前者は0-100km/hタイムが7.3秒、最高速度が240km/h、燃費は20.8km/ℓ、CO2排出量が114g/km。
後者が5.8秒、249km/h、17.6km/ℓ、129g/kmとなる。こちらも2種ともに、オプションのSトロニック・ギアボックスを組み合わせた際の公表値である。
ローンチ時のディーゼル・ユニットの展開は、既にお馴染みの2.0ℓ 4気筒ユニットのみとなり、EU6に適合したアドブルー・エグゾースト・インジェクション・システムを含むアップデートが施されている。
こちらもチューニングによって150psと190psの2種展開となる。2.0TDIのバッジをつけるのはこれまでと同様だ。
Sトロニックを組み合わせる150psの0-100km/hタイムは8.6秒、最高速度は219km/h、燃料消費率は26.3km/ℓ、CO2排出量は99g/km。同じギアボックスを搭載した190psの場合は7.7秒、237km/h、24.4km/ℓ、107g/kmとなる。
ここ最近のアウディと同様、A4 2.0TDIは、エアロダイナミクスの向上に特化した ‘ウルトラ’ グレードが追加される予定で、外観の小変更、ギア・レシオの改善、低くなった車高、摩擦低減タイヤが識別ポイントとなる。
150psを発生するセダンの場合、燃料消費率は27.0km/ℓ、CO2排出量は95g/kmまで低減され、アウディいわく “クラス最高の経済性” ということになる。
また3.0ℓのV6ディーゼルも展開の頭数にカウントされている。出力の違いによって2展開となるのは先代同様。A4 3.0TDIと呼ばれるこのグレードには221psと276psの2種が用意される。前もって明かされた情報によると燃料消費率は23.8km/ℓ、CO2排出量は110g/kmとなるようだ。
まだ決定されてはいないが、英国のマーケットには天然ガスのモデルを導入する計画もあるのだそうだ。2016年の後半の販売開始を目指しており、アバントのみの展開。g-トロンと呼ばれ172psを発揮するのだそうだ。
2.0ℓ 4気筒ターボがその心臓部となり、リアには天然ガス用のタンクが搭載される。天然ガスだけで450km程度の走行ができ、ガソリンでも500程度走れるのだそうだ。
3.0TDIのみ、前後40:60で動力を伝達する4WDが標準となるが、その他のモデルはFFがスタンダード。2.0TFSIの251ps版と2.0TDIの190ps版ならば4WDも選べるという。
ギアボックスは、4気筒エンジンのモデルには改良された6速マニュアルが標準となる。古いユニットのハウジングに用いられたアルミはすべてマグネシウムへと置き換えられ、ディファレンシャルは新型に、シャフトには空洞が設けられ、クラッチ・プレートはより小さくなった。これによるダイエットは16kgに及ぶのだそうだ。
これまで使用していたマルチトロニック・オートマティック・ギアボックスは廃止され、既存の7速デュアル・クラッチSトロニック・ユニットの改良版が使用される。前輪駆動のモデルに組み合わされるのは初めてであり、2種の3.0ℓ V6ディーゼルには標準となる。
よりパワフルな3.0ℓ V6ディーゼルは、8速オートマティックが標準。コースティング機能を組み合わせることによって、ガソリン消費を抑える。
サスペンションは前後ともに新開発の5リンク式を採用し、エンジンの種類によって16インチか17インチのホイールが標準となる。フロント・サスペンション・コンポーネントはアルミニウムを多用し8kgの軽量化に成功。リアも5kg減なのだという。
ステアリングはスピード感応式のエレクトロ・メカニカル・システムとなり、ステアリング・レシオは15.9:1。システム全体の重量は3.5kg軽くなっているという。
193psを発揮する2.0ℓ 4気筒ディーゼルを搭載したモデルより上のグレードでは、アウディが呼ぶところのドライブ・セレクト・システムを標準化し、スロットルやステアリング、ギアボックスのキャラクターを変えることができる。キャラクターは幅広く変更できるのが特長だ。
クワトロ4WDシステムには、改良されたトルク・ベクトリング機能が組み合わされ、後輪に与える動力を調整することによって、より自然なコーナリングを実現するのだそうだ。これをアウディはスポーツ・ディファレンシャルと呼び、先代のA4にくらべて反応が早まり、システム全体で1kg軽くなっているのだそうだ。
SE、スポーツ、Sラインの3つのトリムが用意され、価格は1.4 TFSIで£25,900(477万円)、アバンドは£27,300(503万円)から。最も高いのはアバントの3.0ℓV6 TDIクワトロで£40,350(744万円)からとなる。