フェラーリ488GTBスパイダー、フランクフルトでワールド・プレミア
公開 : 2015.09.15 22:14 更新 : 2017.06.01 02:04
フェラーリは、670psのV8ターボ・ユニットをミドに搭載した488GTBスパイダーをフランクフルト・モーターショーでお披露目した。
フェラーリは自動車メーカーとして初めて、この独自の構造をしたRHT(リトラクタブル・ハードトップ)を採用。このRHTは重量低減(-25kg)に貢献するとともに、従来のソフトトップよりも優れた快適性を備えている。
フェラーリの歴代スパイダー・モデル同様、フェラーリ488スパイダー は、高性能がもたらすオープントップ・ドライビング。プレジャーと、明確なフェラーリ・エグゾーストサウンドを求める方に最適なモデルとなる。
アルミニウム製スペースフレーム・シャシーおよびボディシェル、新型V8ターボ・エンジン、ダウンフォースの増加とドラッグの低減を両立させたエアロダイナミクス、オープントップに求められるキャビンへ流入する気流のコントロールを有し、さらに、速く俊敏でかつ瞬時に反応するビークル・ダイナミクスなど、フェラーリ488スパイダーは、隅々まで同セグメントのベンチマークとなることを目標にデザインされているのだそうだ。
エンジン・カバーの下には、3902cc V8ターボ・エンジンがおさまる。これは数カ月前にフェラーリ488 GTBに搭載されデビューしたパワー・ユニットと同様のものである。
最高出力670ps、最大トルクは3000rpmで77.4kg-m。0-100km/h加速は3.0秒、0-200km/h加速は8.7秒となる。先代の自然吸気エンジンよりも出力を100ps向上させると同時に、C02排出ガスの低減を図り、性能だけではなく燃費効率にも優れたモデルとなった。
ターボ・エンジンの宿命であったターボ・ラグを排除することで、スロットル応答時間をわずか0.8秒とし、回転域を問わず常に湧き上がるようなパワーを発生する。
この特徴は、マラネッロのファクトリーならではの製造プロセスによって実現したもので、ターボをはじめとした単体パーツだけでは達成できるものではないとのこと。スクーデリアと共有しているこの施設は、レーシング技術のロードカーへの移転促進にも大きく貢献している。
フェラーリの伝統に従って、このフェラーリ488スパイダーもまた極めて特徴的なサウンドを奏でる。導入した長い等長パイプによるエグゾースト・ヘッダー、フラットプレーン・クランクシャフトなどによって生まれるこの特徴的なサウンドは、エンジン回転の増減によって変化するハーモニクスと音調を徹底的に解析し、さらに際立たせている。
そのサウンドは、スロットルに瞬時に反応するエンジンの上昇回転に合わせて、音量と透明感を増しながら変化する。これは、オープン・トップ状態でも決して心地よさは損なわないとのこと。一方パフォーマンスもまた、上昇回転に合わせて力強さを増加させる。
フェラーリ488スパイダーはまた、これまでのフェラーリ・スパイダー・モデルの中で最もエアロダイナミクスに優れたモデルとなった。複雑多岐にわたるエアロダイナミクス・ソリューションの導入によって、最適なダウンフォース獲得とドラッグ削減という、相反するふたつの目的を満たすことに成功したという。
マラネッロのエンジニアは、ブロウン・スポイラーをはじめ、ボーテックス・ジェネレーターを組み込んだエアロダイナミック・アンダーボディなど、いくつかの先進的なデバイスを採用することで、それぞれの目標を同時に達成させた。
気流の研究は、車輌内部の快適性も考慮して進められた。電動ガラス・リアウインド・ストッパーは、オープントップ・ドライビングでの優れた快適性を保証するために、3つのポジションに調整可能とした。ウインド・ストッパーを最下段に設定すると、ルーフを閉じた状態でも天候やドライビング状況に関係なく、ダイレクトにエンジン・サウンドを愉しめるという。
リトラクタブル・ハードトップのコンセプトに沿ってデザインされたフェラーリ488スパイダーのスペースフレーム・シャシーには、各部位の特別な利用条件を全て満たすために、マグネシウムをはじめとした非腐食性金属を組み合わせた11種類の異なるアルミニウム合金が使われている。
クーペ・モデルと同等のねじれ剛性とビーム剛性を実現させながら、先代スパイダー・モデル比で23%も性能を向上させた。剛性確保に重要な要素となるルーフが車体基本構造から分離しているスパイダー・モデルとしては 驚異的ともいえるこの結果は、フェラーリのアルミニウム製シャシーとボディを担当するスカリエティ・センターの卓越した技術が大きく貢献している。
RHTは、2つのセクションに分離し、互いに重なり合いながら後方に折り畳まれ、エンジンと同じ高さに、極めてコンパクトに格納さる。一連の動きはとてもスムーズで、開閉に要する時間は、わずか14秒である。
アルミニウムは、機能面のみならず、美しさという観点からも欠かすことができない要素だ。フェラーリは伝統的に、細部フォルムまで彫刻のように仕上げることで技術を極めてきた。
今回の例では、エンジンカバーに最適な気流を導くフライング・バットレスをはじめ、エンジンカバー・リブ、エア・インテークのスクラプテッド・メッシュグリルなどがそれで、車輌に見事なダイナミズムを与えている。
この実現に、フェラーリ・スタイリング・センターは、フェラーリ488 GTBのデザインを手直しして、エレガンスの再構築を図っている。