BMW 7シリーズがフランクフルトで公開
公開 : 2015.09.16 22:25 更新 : 2017.06.01 02:04
メルセデス・ベンツSクラスやアウディA8に対してラグジュアリー・クラスでの反撃を行うべく使命を持たされたBMWのフラッグシップ・サルーン、7シリーズがデビューした。
この6代目となる7シリーズの大きな特徴は、カーボンファイバーのハイブリッド・フォームを使用したボディで、先代に較べておよそ130kgもの軽量化がされたことだ。また、今回新たになったガソリンおよびディーゼルの6気筒ユニットや、電気モーターのみで最高40kmの航続距離を持つハイブリッド・ユニットも採用されている。更に、今回7シリーズとしては初めての4WSを備えた4WDシステムも採用されている。加えて、リモート・パーキング・システムや、タッチ&ジェスチャー・コントロールが可能な新しいiDriveも新しい7シリーズの特徴のひとつである。
ボディはショート・ホイールベースのG11とロング・ホイールベースのG12があるのは先代と同様だ。より傾斜のきつくなったリア・ウインドーと、スロープが激しくなったトランクが与えられるが、それでも伝統的な3ボックスのシルエットは保たれている。フロントのキドニー・グリルはより凹凸が強調されたものとなり、エンジン・ベイへのエア・フローを考慮したものとなっている。また、大きなLEDヘッドランプとフロント・バンパーに収められたLEDフォグランプ、輪郭がはっきりとしたボンネットも特徴のひとつ。なお、ヘッドランプは、i8にも採用されたレーザー・ハイビームがオプションとして用意される。
サイド・シルエットもよりはっきりとしたものとなり、ショルダー部分が強調されている。また、グラスハウスは高くなり、フロントのホイールハウス後方からクロームのハイライトがサイドシル上部に飾り付けられている。
リアの特徴はその高いトランクで、伝統的なL字型のテールランプと、左右に走る1本のクロームのラインと共に組み合わせられている。
BMWはこの新しい7シリーズに4つのスタイリング・パッケージを用意している。スタンダード、Mスポーツ、ピュア・エクセレンス、そしてインディビデュアルの4つだ。
標準的なショート・ホイールベース・ボディの全長は5098mm、全幅は1902mm、全高が1478mmで、これは先代に較べると19mmほど長く、7mmほど高い数値となる。また、ロング・ホイールベース・ボディは、先代よりも18mm長い5238mmの全長を持つ。ホイールベースは、ショート・ホイールベースが3070mm、ロング・ホイールベースが3210mmと、この数値は先代と同一である。トレッドは、フロントが7mm広くなった1618mm、リアが4mmほど狭くなった1646mmだ。
エクステリア同様、インテリアも、ダッシュボード、コントロール、トリムなどが一新されている。デジタル・イントルメントのグラフィックは通常はホワイトでライトアップされるが、ドライビング・モードに応じてブルーやレッドに変化するというもの。また、マルチ・ファンクション・ステアリングのデザインも一新され、フロント・シートにはベンチレーションとマッサージ機能が装備される。
インテリアのオプションは豊富で、シートやステアリングだけでなくアームレストやドア、センター・コンソール、リア・センター・アームレストまでが暖かくなるヒート・コンフォート・パッケージなどといった贅沢な装備までラインナップされている。また、バウアーズ&ウィルキンスのサラウンド・サウンド・システム、ナイト・ビジョン、6色に切り替えが可能なガラス・サンルーフ、電磁誘導ワイヤレス式の携帯電話充電器、先代よりも75%も拡大されたヘッドアップ・ディスプレイなども用意される。
大きなニュースのひとつとして第5世代のiDriveが新規に採用されたことだ。セットアップが見直されたこのiDriveは、タッチパッドとタッチスクリーン・ファンクションを備え、オプションのナビゲーション・システム・プロフェッショナルと組み合わせることで、スマートフォンのようなピンチ、ポイント、スワイプといったコントロールが可能となる。また、従来通りのセンター・コンソールにマウントされたロータリー・ダイヤルもアップデートされている。更に、オプションとしてジェスチャー・コントロールにも対応している。これは、ヘッドライニングの中にセットされた3次元センサーを利用したもので、クランプ、ポイント、回転、スワイプ、2本指コマンドといった5つのジェスチャーを認識する。
エンジンは、740Liに搭載されるB58型の3.0ℓ6気筒ターボ・ガソリンと、730dに搭載されるB57型の3.0ℓターボ・ディーゼルがまずデビュー当初でのラインアップとなる。
ガソリン・ユニットは、325ps、45.9kg−mのパワー、トルクを持ち、前作のN55型よりもトルクは同じだが、パワーは6psほど上昇している。このエンジンを搭載した740LiのCO2排出量は154g/km、燃費は15.2km/ℓで、0-100km/h加速が5.5秒、最高速は250km/hだ。
一方のディーゼル・ユニットは、265ps、63.2kg-mのパワー、トルクを持ち、前作のN57型よりもパワーで7ps、トルクで6.2kg-mほど上昇している。このエンジンを搭載した730dのCO2排出量は119g/km、燃費は22.2km/ℓで、0-100km/h加速が5.8秒、最高速は250km/hだ。ちなみに、先代に較べてCO2排出量は29g/km、燃費は4.4km/ℓほど改善されているという。
この740Liおよび730dにはZF製の8速のオートマティックが標準で、オプションとしてパドル・シフトを備えたステップトロニックが設定される。
また、2016年の前半には新しいプラグイン・ハイブリッドを搭載した740eもラインナップに追加される。すでにX5 xDrive 40eに搭載されているユニットを搭載したモデルで、2.0ℓの4気筒ガソリン・ターボとモーターとを組み合わせたもの。パワーは325psで、0-100km/h加速が5.6秒、最高速度は240km/hというパフォーマンスを持つ。モーターのみでも最高速度120km/hにまで達し、航続距離は40km。また、CO2排出量は49g/km、燃費は47.6km/ℓだ。
ツインターボの4.4ℓV8を搭載した750i xDriveは来年に追加される予定だ。この90°V8ユニットはツイン・スクロール・ターボを搭載し、10.5:1という高い圧縮比を持つもので、450ps、66.2kg-mというパワー、トルクを発揮する。この750i xDriveは0-100km/h加速4.4秒、最高速はリミッターの効く250km/hとなる。ちなみにCO2排出量は189g/km、燃費は12.4km/ℓだ。
更に、来年後半にはトップエンド・モデルとなる6.0ℓV12ツインターボを搭載したモデルも加わる予定だ。なお、このV8とV12はロールス・ロイスにも使用されることとなる。
また、BMWはM7あるいはM750iMといったハイ・パフォーマンス・モデルの準備もしているようだ。このモデルは600ps以上を発揮するM5に搭載されている4.4ℓV8ツインターボを搭載する予定だ。
新しい7シリーズは、標準でコンフォート、スポーツ、エコ・プロ、アダプティブという4つのモードを選択可能なドライブ・エクスペリエンス・コントール機能を持つ。また、最新のBMW同様に、ブレーキ・エネルギー回生システムと、惰性走行機能が装備される。
駆動方式は標準ではリア・ホイール駆動で、4WDはオプションとなる。ちなみに、4WDモデルは2WDモデルに対して70kgほど重くなるという。
サスペンションに関しても、大きな見直しが行なわれている。スプリングはエアで、最大135mmほど車高を調整するセルフ・レベリングを備える。更に、スポーツ・モードでは車高が自動的に10mmほど低くなるほか、35km/h以下ではコンソールにあるボタンをプッシュすることでグラウンド・クリアランスを20mm上げることも可能だ。
740iと740e以外のモデルには、電子油圧制御のロールバーがエクゼクティブ・ドライブ・プロ・ファンクションの一部として搭載される。これは、従来の油圧制御のロールバーに代わるもので、乗り心地の改善が採用の狙いだ。
重量の低減のために、ホイール・キャリア、ブレーキ・キャリパー・ハウジング、ブレーキ・ディスク・キャリア、リアのトランスバース・サスペンション・アームはすべてアルミニウム製となる。これだけで、先代の7シリーズに対し40kgほどの軽量化となる。各ホイールに分担すればそれぞれバネ下が10kgずつ減らされたことになる。前後の重量配分は理想的なフロント、リアが50:50というもの。
新しい電子制御のメカニカル・ステアリングは、サスペンションと連動したものとなる。また、4WDモデルには、新たに4WSがセットされることになった。この4WSは、リア・ホイールに最高3度の逆位相、2度の同位相を与えてくれるというものだ。
BMWは世界初の機構として、ドライバー不要のパーキング・システムを採用した。これは、フロント・ガラスに取り付けられたステレオ・カメラとレーダー・センダーにより、リモコン操作で駐車できるというものである。
新しい7シリーズは、740iが£72,060(1,370万円)から、730dが£64,530(1,230万円)からとなる。ロング・ホイールベースは£3,950(75万円)高、そしてxDriveは£2,730(52万円)高、そしてMスポーツ・トリムは£3,650(69万円)高だ。