ベントレー・ミュルザンヌ・スピード vs テスラ・モデルS P85D
公開 : 2015.09.29 23:50 更新 : 2017.05.29 19:30
ただし、静止加速を試みると、基準車のミュルザンヌとのドラマティックな違いはほとんどわからない。耳に届く音や推進力には唸らされるのだが、やはりすべての所作に重みが残るのだ。
足腰が締めあげられているにもかかわらず、コーナーでも重みを感じざるを得ない。外輪には2.7トンの車重がずっしりと乗っかっているように感じるし、アンダーステアもかなりのものだ。
勇気とスペースさえあれば、それなりに遊ぶことができるのだが、全般的な印象は正直にいって粗野。だらしなくジーンズを履く王妃を見るような、すこしばかり罪深い気持ちになる。
もちろん運転する楽しさはある。特にエンジンと8速オートマティック・トランスミッションの相性はよく、強化されたトルクとマッチするような設定になっていることもわかる。
サスペンションは低速域ではそれほど気にならないが、速度が増せば、まずまずの衝撃を伝えてくる。ステアリングも路面状況による影響を受けやすいようだ。かといってスポーティかと言われれば、答えに窮する。
テスラも同様に、スポーティとは言いがたい。どっしりとしたベントレーを降りたあとでもモデルSがすばしっこいとは思えない。
ベントレーよりも狙い通りの動きをするものの、ボディ・ロールは意外にも大きめ。軽く正確なベントレーのステアリングに比べると、フィードバックも不足している。油圧式の方が優っている。