text & photo:Kazuhide Ueno (上野和秀)
カーデザイン、イラストレーション、クラフトワーク、モデル・フィッシュの世界で、それぞれの手法でクルマを表現するアーティストの作品展が「自動車アート7人展」だ。各ジャンルで活躍する7人の作品を展示すると共に、クルマを愛する方と共に自動車文化を語り合える場を提供すべく行われている。
7回目となる今回も、有楽町の交通会館にあるギャラリー・パールルームで行われた。ここに参加するのはホンダ、オペル、ヒュンダイのデザインを歴任し、2009年よりアオト・デザインを主宰する青戸 務氏、モデルカーのプロ・フィニッシャーとして活躍する畔蒜幸雄氏、紙とカッターナイフから作られる「切絵」で光と陰の世界を表現する稲垣利治氏、テクニカル・イラストレーションの第一人者であると共に熱烈なエンスージアストの大内 誠氏。カー&ドライバー誌の表紙を長年に渡り担当する岡本三紀夫氏、ドラマティックかつ趣味性の高い作風が特徴の佐原輝夫氏、そしてドイツのオペル社で40年に渡りデザインを担当した児玉英雄氏の7名。今回児玉氏は所用で帰国できず、6名のみの展示会となった。
昨年はシトロエン2CVというテーマで7名が競作を持ち込んだ。今年はその対局ともいえるシボレー・コルベットが題材とされた。6名それぞれがイメージするコルベットの作品が展示された。
この作品展は10月3日(土)まで開催されているので、時間の都合が付く方は是非ご覧になることをお勧めしたい。
2015 自動車アート7人展
会場:有楽町・交通会館1F
ギャラリー・パールルーム
会期:9月27日)〜10月3 日
時間:11:00〜19:00、最終日は18:00
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今年のテーマはシボレー・コルベットで、6名それぞれがイメージするモデルを表現した作品が展示された。
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会場となったギャラリー・パールルームには、初日から熱心なファンが続々と詰めかけ、熱気にあふれていた。
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会場内では来場者が作者に制作の苦労を質問したり、クルマ談義などで大いに盛り上がっていたのが印象的。
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青戸 務●ホンダ、オペル、ヒュンダイのデザインを歴任し、2009年よりアオト・デザインを主宰する。
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オペル社で45年ぶり見付かった当時のレンダリングが手元に戻ってきたため、今回早速持ち込まれた。
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テーマのコルベットは、1973年にGMデザイン・スタジオ在籍時に描いたイメージ・スケッチを展示した。
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畔蒜幸雄●モデルカーのプロ・フィニッシャーの第一人者。今回は新旧4台のコルベットを持ち込んだ。
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フォード・マスタング誕生50周年を記念して製作した、新旧各タイプを佐原氏のイラストと共にディスプレイ。
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畔蒜氏はグランド・チェロキーと300SL、そして2台のスーパーバードというお気に入りのクルマを並べた。
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稲垣利治●紙とカッターナイフから創り出される「切絵」で光と陰の世界を表現するアーティスト。
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パリのグランパレの写り込みを題材とした作品達。ライトやメッキ部分の下はアルミを浮かして輝きを表現する。
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稲垣氏の手にかかるとコルベットもこの通り。グランパレの写り込みとリアエンブレムを大胆にトリミング。
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大内 誠●テクニカル・イラストレーションンの第一人者であると共に熱烈なエンスージアスト。
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今回は新作のプリムス・スーパーバードを製作した際に描かれた、各部の下絵も展示され注目を集めていた。
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課題はC1コルベットの透視イラストで答えた。今回は作者の年代からか、C1を題材とした作品が多かった。
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岡本三紀夫●超リアリティな作風のイラストで、カー&ドライバー誌の表紙を長年に渡り担当する。
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岡本氏は今回もお気に入りの作品を展示した。実は屏風型の作品を手掛けていて、次回に持ち込む予定とか。
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テーマのコルベットは、カー&ドライバー誌の表紙を担当して3〜4回目に掲載されたものを展示した。
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佐原輝夫●コンボイと題された作品は、クルマだけではなくポール・ブランドやバンドまでを織り込んだ力作。
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佐原氏の作品はストーリー性があり、かつドラマティックな内容の作風が特徴で、来場者の注目を集めていた。
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テーマのコルベットも佐原氏の手にかかるとこの通り。テレビのルート66のキャラクターを盛り込んで制作。