スズキ・エスクード

公開 : 2015.10.30 23:50　　更新 : 2017.05.29 18:41

LOCK以外でも、スリップ輪にブレーキをかけ、グリップ輪にトルク伝達できるのがエスクード専用制御。S-クロスではLOCKを選ぶ必要有。

■「買い」か?

ダッシュボードの仕立てなどはS-クロスより安普請感があるエスクードだが、国内価格はS-クロスよりちょっとだけ高い。

これは、よりヘビーデューティ指向の設計に加えて、ミリ波レーダー式の自動ブレーキ機能 “レーダーブレーキサポートII(RBS II)” と、それに付随するアダプティブクルーズコントロール(ACC)が、現時点でエスクードだけに備わることが理由だろうか。

S-クロスにはないレーダー装備がエスクードだけに投入されている理由は、欧州における発売時期も無関係ではない。ユーロNCAPの判定基準が昨年から厳格化されて、自動ブレーキなどの先進安全装備がないと、最高ランクの “五つ星” が取りにくくなった。S-クロスの欧州発売は厳格化直前の2013年。これらの装備をS-クロスにも展開するのは、技術的にはさほどむずかしくないはずだが、対応はこれから……ということか。

エスクードに備わるRBS IIは100km/h以下から作動する本格派。ACCも休日の高速などで一度でも使ったら手放せなくなる依存性がある。

このサイズのSUVで本格的な悪路性能をもつタイプは意外に少なく、ヴェゼルやCX-3などの最新鋭の競合車と比較するとエスクードは割安。ちょっとした悪路走行も含めた休日レジャーで頻繁に使うような人たちが、装備類を細かく吟味していくと、最終的にエスクードが残るケースが多そうだ。

(文・佐野弘宗　撮影・花村英典)