アウディR8 V10プラス
公開 : 2015.11.05 23:50 更新 : 2017.05.29 18:14
可変ラックを採用したステアリングのおかげで車体の動きは恐ろしくクイック。ただし数コーナーをこなせば、不思議なくらいに体が馴染んでくる。多くの人がR8のセットアップに酔いしれるはずだ。
フロント・タイヤは地面を削っているのではと心配になるくらい強力に路面をとらえる。欲しいだけのインフォメーションを与えてくれる。
ドラマもなければサプライズもない。610psのクルマとしての仕事を淡々とこなしているように感じる。まったく悪いことではない。
ミドル・コーナーの途中でバンプを乗り越えてもオプションのアダプティブ・ダンパーが車体をフラットに保ち続ける。車体が慌てふためくことはなく、最小限のリーン・アングルでコーナーをすり抜けていく。
ベンドに差し掛かると最初はアンダーステアの傾向が強まる。そこでスロットルをオフにすると、ウエイトは自然にフロントに移行する。
フロントの食いつきに身を任せてスロットルを開けると、次は一瞬にしてリフトし始める。あとは思いのままにドリフトを楽しめばいい。
もともと楽しいクルマなのに、望めば望むだけさらに楽しくなる。これがR8なのである。
コンフォート・モードに戻してみると、(少なくとも19インチのモデルは)驚くほど柔和な乗り味を披露してくれる。ギアボックスのスラーもお見事。音のみがシフト・チェンジをしていることを伝えてくれる。
もし仮に、毎日乗れるスーパーカーをお望みならば、R8に並ぶ選択肢は、ごくごく限られたものとなるだとう。ただし荷物の収容力に関しては、依然としてポルシェ911ターボSの優勢である。