ジャガーXJ 3.0V6ディーゼル・オートバイオグラフィーLWB
公開 : 2015.11.06 23:50 更新 : 2017.05.29 18:37
ツインターボV6ディーゼルは、高速域と強めにアクセルを踏んだ時に音が聞こえるくらいで全般的にはかなり洗練されている。パーシャル・スロットル時にはほとんど耳に届かないといっても決して言いすぎではない。
約2トンの車重であるにもかかわらず、加速は素早い。ミドル・レンジのパンチ力も見ものであり、ダウン・シフトせずともグッとパワフルに加速していく。
市街地を低速で走るときには、ディーゼル・ユニットを原因とするヴァイブレーションがコントローラーを介して少しだけ伝わってくる。特にアイドリング・ストップ時から再始動する時には一瞬だけキャビンが震える。
ほかのジャガー・ランドローバーと同じく、静止状態から速度が乗るまでに一瞬の溜めがあるのも残念。あらかじめ加速を見越してアクセルを踏んでやる必要がある。
一方、8速ATの完成度はかなり高い。特にステアリングにマウントされたパドルでシフトする時は、自分の理想と実際の動きにズレがない。トラクションもまた問題ない。
110km/hを越えた際の回転数はせいぜい1400rpm程度。クルーズに適した静粛性を兼ね備えているといっていい。
あまり感心できないのは乗り心地である。特にこの20インチ・ホイールを履いた車体だと、コンフォート・モードでさえ路面の凹凸を継続的に伝えつづける。
さらにラフな路面になると、ほとんど落ち着かなくなる。最悪とまではいわないが、この手のクルマに求める魔法の絨毯のようなものとは無縁。フロント・エンドからは盛大なタイヤ・ノイズが聞こえ、ピラーからもウインド・ノイズがバタバタと生じている。
高速道路とクロス・カントリーを混ぜあわせた今回のテストの平均燃費は10.5km/ℓ。ガソリンを77ℓ飲み込む大容量タンクのおかげでこの調子ならば800km以上航続できる計算になる。
シートは必要以上に硬いと感じるものの、サポート性は高い。ステアリング・ホイールは上下前後に電動調整でき、良好なドライビング・ポジションも見つけやすい。