レクサスLX570

公開 : 2015.11.08 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • セミアニリン本革シート。シンプルな形状が好ましい。ヨーロッパの高級車のような革のにおいはまったくしない。清潔そのもの。

  • 2列目シートのサイズはたっぷりとしているけれど、乗り心地は高級サルーンというよりバスとかトラックとかに近い。

  • 3列目シートも大人がちゃんと乗れる。アクセスも2列目がおりたためるため、それほど悪くない。

ドライブ・モード・セレクトがついていて、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+に加え、カスタマイズというモードが設定されている。カスタマイズはパワートレイン、シャシー、および空調の制御をそれぞれ任意に選ぶことができる。

電子制御ダンパーのAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)は基本的にランクルよりもソフト方向に仕立てられている。低速だと、エアサスではないけれど、エアサスみたいなフワフワ感がある一方、ゴツゴツ感もある。

ゴツゴツ感はテスト車がオプションの21インチのタイヤ&ホイールを履いているせいもある。基本的にフラットな姿勢を保つのは2720kgの車重それ自体が重しになって、いい方向に働いているからだ。52:48と前後重量配分もよさげで、基本的に素直な動きをする。

ただし、ステアリングはトヨタのクルマとしては異例に重い。アクセル・ペダルも重めだ。ステアリングのギア比を車速に応じて変えるVGRS(バリアブル・ギア・レシオ・ステアリング)を装備しているので、巨体の割に普通に動く。

けれど、相手は車重3トン弱、全高1.9mの大男である。俊敏に動かすのは5.7ℓ V8をもってしても物理の法則に反する。LX570は物理の法則に反しようとしていないところがよいのである。ゆったりとした、4WDの横綱にふさわしい鷹揚さ、風格、品格といっていいものがLXにはある。

LX570はレクサス・ブランドにあって、最も骨のあるクルマ、といっていい。実際、ラダーフレームを持ち続けている。リアはオフロードでの耐久性とサスペンション・トラベルにこだわって、リジッド・アクスルのままだ。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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