シェルとゴードン・マーレー、高燃費シティカーを画策
公開 : 2015.11.12 22:08 更新 : 2017.06.01 01:42
石油メーカー大手のシェルはゴードン・マーレーと元ホンダF1のエンジン設計者である後藤治とともにあたらしいシティカー・コンセプトの詳細を明らかにした。
車重は600kg以下。公式のヨーロッパ・サイクルで測定した燃料消費率は35.4km/ℓを超えるとのことだ。
プロジェクトMという名でも知られるこのコンセプトの主役となるこのモデルは1+2カーであり市街地の使用をメインとしているのだそうだ。
2010年に初めて公開されたマーレーのニュー-エラT25アーバンカーをオリジンとしているが、シェルと後藤治のジオ・テクノロジー・エンジン・ラボとの協力が決まってからは徹底的に見なおしているという。
ハイブリッドやEVが環境車として認識されている今、化石燃料を使用したコンセプトであることに拘っており、彼らの言葉を借りると “内燃機関を用いた、超小型かつ効率的なシティカー” ということになる。
エンジンは660ccの三菱製3気筒。アイデアの基本となったT25が使用していたものと同じであるが、潤滑系統や車体はプロジェクトM専用となっているそうだ。
ジオ・テクノロジーとしては、パッセンジャーカーを造るのは初めてであり、レース・エンジンの製作で培ったフリクション低減技術を適応する意向のようだ。
車重に適合させたエンジンの最高出力は48ps/5500rpm。最高出力は113km/hを超えるという。
カムシャフト、タペット、ピストン・スカートにはフリクションを抑制する ‘DLC(ダイアモンド-ライク・コーティング)’ を採用。
「カムシャフトとタペットのあいだの潤滑は、エンジンのなかでもっとも重要なのです」とジオ・テクノロジーのエンジニアリング・ディレクターの池辺秀仁はいう。
「フリクションを抑制するためにはどちらかをコーティングするのが通例なのですが、われわれはどちらもコーティングしました」
さらにエンジン・スピード低減を考慮して、保持器とバルブ・スプリングを変更。チタン・バルブがインストールされた。
さらに燃焼プロセスのために重要なピストンヘッド以外の部分を再設計しているという。
ピストン・スカートはベースとなったエンジンに比べて30%短くなった。さらにシリンダーとコンタクトする表面も40%減っている。
潤滑剤を保持するためのピストン・スカートの凹みは取り除かれ、表面はポリッシュし、DLCがコーティングを施したのだそうだ。
ピストン・リングは3つから2つに減らされ、コネクティング・ロッドは9%伸びた。これにより「ウエイトの上下の移動量が少なくなり、運動時のフリクションも減ります」とのことだ。
現段階ではテスト車両にすぎないが、2016年中ごろには製品版が完成するという。実際に販売される予定はないのだが、2050年までには世界中のシティカーのうちの4分の3がこのクルマに置きかわることを示唆する。
エンジンは車体後方におくのはマーレーが提唱するiストリーム・マニュファクチャリング・プロセスを受けてのこと。フレームはチューブラー・スチールとなり。コンポジット・パネルはボンド付けされる。
ゴードン・マーレーとのQ&A
3メーカーの合同開発の理由は?
「軽量化、内燃機関の充実、エアロダイナミクス、ロー・フリクションを徹底的に考えれば、チームをつくる必要がでてきました。」
興味をもっているメーカーって少ないですよね。
「われわれはエンジニアリングやデザイナーだけでなく、人間にインスピレーションを与えたいと思っています。
」
プロジェクトMとT25の関連性は?
「T25のアーキテクチャーと3シーターのレイアウトを参考にしています。デザインは若いチームとし、素材と製作のためのアイデアは考慮しなおしています。」