■どんな感じ?

電制パワー・ステアリングがどれほどの影響を与えたかを調べるためにシルバーストーン・サーキットを3周した。

最初は懐疑的だったものの、ジャガーのドライバーへのアピールがまったくもって損なわれていないことに驚かされた。

ステアリングは標準でもがっしりと重く、速度と舵角が増すにつれてさらに充実のある重みが増す。アクションはカチリとしておりなめらかでもある。

フィードバックの豊富さを含めて、常にドライビングに参加している気持ちになる。さすがに他のジャガーのようなアジリティとまではいかないが、数字が示すほどのカサの大きさは感じない。

そして速い。40km/h台後半から130km/hあたりまでの時間はほんの一瞬に感じるし、160km/hを超えてもとどまることなく加速しつづける。

ブレーキ・ペダルを強めに蹴りこめば、一瞬にしてスピードは落ち、その際のフィールも違和感がない。それに引き締まったサスペンションがボディをムダに動かさない。

8速オートマティックもサーキット上でいい仕事をする。マニュアル・モードでは素早く変速してくれるし、アグレッシブな走行でも機構が慌てふためくことはない。

どれほど速度が積み重なろうとも自信と満足度は増していくばかり。スロットルの微細な操作も行いやすいし、スタビリティ・モードの介入も絶妙である。

エンジンそのものの音は控えめであるが、テスト車の場合はオプションのエグゾースト・システムのおかげでなかなかの勇ましさだ。