マツダ・ロードスターRS
公開 : 2015.11.16 23:40 更新 : 2017.05.29 19:13
ただ、身長178cmでメタボ体形、かつ典型的な短足日本人タイプである私の場合、いつものドラポジを設定すると、クラッチ操作ごとに左足がダッシュボードに当たってしまう。これはほかのロードスターでは見られない現象だ。試乗後に開発担当氏ともども確認したところ、数値的な座面高は変わってなくとも、下半身を左右をきっちりホールドするレカロのせいで、微妙に両脚が持ち上げられてしまうのが原因らしい。
そもそもギリギリのクリアランスでドラポジの理想を追求したロードスターゆえに、体形やシート形状のわずかなちがいで、こういう問題は起こる。まあ、小型スポーツカーというのは元来そういうものなので、批判するつもりはない。ただ、これからロードスターを購入する向きは、所望のグレードの運転環境を、ショールームで丁寧かつ冷静に、心ゆくまで確認すべきである。
シャシーは既存のSスペシャルパッケージ(以下、Sスペシャル)をベースに、タイヤやスプリング、スタビライザーはそのままに、ダンパーだけを入れ替えている。減衰力はフロントがSスペシャルより明確に高められて、リアはほとんど変わっていないという。
大径ピストンのビルシュタインは、微小域から減衰がきっちり立ち上がってくれるのもメリットだ。ご想像のとおり絶対限界性能はSスペシャルと変わりないが、ステア反応がわずかに鋭くなったいっぽうで、フロントの姿勢変化はゆっくりとしたものなり、、トータルとしては、FRに不慣れなドライバーのアラっぽい運転に寛容になった。そのわりにリアはしっかりと路面をとらえてくれて、さらにLSD効果もあり、後からのキック力は損なわれていない。あくまで微妙な差ではあるが、現在のロードスターでは、このRSがもっとも現代的で技量を問わない操縦性をもつ。