ルーテシア・ルノー・スポール・トロフィー

公開 : 2015.11.17 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • 日本人はろくなホットハッチをつくっていないけれど、その代わりか、R.S.車を昨年992台購入した。世界で3番目にR.S.を愛する国になった。

  • 1番は4千台弱の仏でダントツ。2番は豪で、日本との差は数十台。ルノー・ジャポンとしては2年連続のトップ3入りを狙う。そうなれば、発言力が増す。

■どんなクルマ?

ルーテシアルノー・スポール(R.S.)に加わった激アツ・モデル。R.S.は従来からシャシー・スポールとシャシー・カップの2グレードから選択できた。後者はワンメイク・レース用のカップ・カー由来の名称通り、よりサーキット走行を意識したセッティングを特徴としていたわけだけれど、新登場の ‘トロフィー’ はカップ以上にタイムにこだわったワークス・チューンド・カーなのだ。

ニュルブルクリング北コースの記録を持っていたメガーヌR.S.が ‘トロフィー’ を名乗っていたことを思い出していただきたい。

シャシー・スポールとカップで共通だった1.6ℓ直噴ターボ・エンジンはブースト圧が1.9から2.0に引き上げられた。最高出力は10%アップの220psを6050rpmで生み出し、最大トルクは24.5kg-m/1750rpm から26.5kg-m/2000rpmに引き上げられた。許容回転数は6500から6800rpmへ、300rpm余分に回るようになった。

デュアル・クラッチ式の6速ATは主に制御プログラムの変更により、変速時間が30%短縮された。ステアリングのギア比は14.5:1から13.2:1に低められてよりクイックに、足回りはシャシー・カップ比で40%かためられた。フロント20mm、リア10mm、車高が低められたのは高速域での安定性を高めるためだ。2cmは工業製品として誤差の範囲だという。ルノーのスペシャリスト集団ルノー・スポールはかくも微妙な調整を量産車に施しているのだ。

試乗車には用意されていなかったけれど、ボディ色に ‘ブラン ジーヴル ナクレ マット’ という新色が追加されたこともニュースである。流行りのマットの白で、1日2台しかペイントできない。ゆえに216,000円と高価なオプションである。つや消し塗装は、洗車機に入れるとテカテカになるため要注意などメインテナンスにも気をつかう必要がある。おしゃれには努力が求められるのは洋服もクルマも同じである。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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