ルーテシア・ルノー・スポール・トロフィー

公開 : 2015.11.17 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • トロフィーは7.5Jx18インチの専用ホイールに、ミシュランのパイロット・スーパースポーツを履く。

■どんな感じ?

F1のフロント・ウィングを思わせるエア・インテーク・ブレードとサイド・モールにTROPHYの文字が赤く入る。タイヤ&ホイールはシャシー・スポールが17インチであるのに対して、トロフィーは18インチが奢られる。全長4m少々の、いわゆるBセグメント、ゴルフのひとつ下のポロ・クラスに属するわけだけれど、横から見ると前後フェンダーが膨らんでいて、見事なコークボトル・シェイプである。リア・ドアの隠しハンドルが効果的で2ドアのクーペのようにも見える。

ドアを開けて乗り込むと、いかにもボーイズ・レーサーという雰囲気が漂う。スターター・ボタンを押すと、低い唸りを上げて1.6ℓ直噴ターボが目覚める。エグゾースト・エンドが専用になっていてサウンド・チューニングも怠りない。

シルバーの四角いボタンがセンターコンソールに設けられている。‘R.S.ドライブ’ と呼ばれるこのボタンを押すと、ノーマルからスポーツに、さらに長押しするとレース・モードに変わる。後ろになるほど、ギア・シフトが速くなり、エンジンのレスポンスがよくなる。レース・モードだとトラクション・コントロール、電子制御ディファレンシャルなどもカットされる。

ステアリングの根元から生えたパドルは固定式で、ステアリングと一緒に動かない。フェラーリ日産GT-Rと同じ方式だ。このパドル、GT-Rとの共用部品だというからうれしい。右がアップで、左がダウンである。R.S.ドライブのスポーツまたはレース・モードを選び、ブレーキ・ペダルを強く踏んで、左右のパドルを手前に引くと、ローンチ・コントロールがスタンバイになる。アクセルを踏み込むとエンジン回転がブウンブウンいいながら2500rpmをキープする。そこでブレーキをリリースし、アクセルを踏み込むと、静止状態から最大の加速力がイージーに得られる。

この時レース・モードを選ぶと、電子制御デバイスはすべてカットされる。フロント・タイヤのスキッドを調節するのはドライバーに任せられる。おくゆかしいドライバーである筆者はスポーツ・モードでこれに臨んだ。キュキュキュッとフロントのミシュラン・パイロット・スーパースポーツが悲鳴をあげる。委細かまわずアクセレレーターを踏む。コンピューターがあとはなんとかしてくれる。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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