どうして目を引くような変更を加えなかったか……。加える必要がなかったからである。もう少していねいに説明するならば、これまで踏み固めた地面をさらに強固なものにしたかったからだという。

しかしボディをはぐってみれば、中身は完全にあたらしいものに置き換わっている。

潤沢にアルミニウムを用いたモジュラー・プラットフォームやインテグラル・リンクのリア・サス、インジニウム4気筒ディーゼル(テスト車はV6)、電気機械式パワステなどは一回り小さいXEから受け継いでいる一方、ホイールベースとキャビンは前後に長くなっている。

一方、全長は短くなった。エアロダイナミクスも向上した。ともなって更にエコノミカルになった。結果的に ‘かなり進化した’ といっていいだろう。

となれば比較だ。

良くなっているのならば、他と比べてどうなのか? を知る必要がある。

全ラインナップのなかで売れ筋になるであろう3.0d Sと戦うのはBMW 530d。パフォーマンスと名声で長くわれわれが愛してきたクルマである。

額面上では5.8秒の0-100km/hタイム、249km/hの最高速度、18.2km/ℓの燃料消費率、144g/kmのCO2排出量もまったくの同値である。

車両価格はBMWにアドバンテージ。今回のテスト車の場合、£5,000(93万円)以上の価格差が生じていた。