トヨタ・プリウス・プロトタイプ

公開 : 2015.11.18 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • 車高を20mm下げ、ルーフの頂点を先代比で170mm前方へ出し、Cd値を向上。

ボディは先代比60mm長く15mm幅広く、前述したように20mm低くなった。ルーフの頂点を先代比170mm前に出し、リア・スポイラーの高さを55mm下げたのは、空力学的に紡錘形が一番よい、つまり燃費によいとされるからだ。Cd値は0.25から0.24に向上している。

エクステリア・デザインはカッコイイと筆者は独断した。そこで、担当デザイナー氏に「これは会心の出来ですね」と申し上げた。エヴァンゲリヲンみたいな前後LEDランプの造形も、キュビスムを思わせるリアの縦の面と横の面の交差もすばらしい。シエンタ同様のライムグリーンのボディ色も、街を走り出したらどうかという問題はさておき、富士スピードウェイの構内で見る限りにおいてはステキに見えた。

■どんな感じ?

試乗会には先代プリウスも用意されていて、比較試乗することができた。まず、新型に乗り込むと、なるほど着座位置が低くなっている。アップライトに座った先代がハッチバック車だったとすると、新型はスポーツカーの趣がある。ダッシュボードも低められていて、広々感がある。シートは面圧分布を変えて、ホールド性を高めているという。

印象的だったのはショート・サーキットで乗り比べた結果だ。先代はアンダーステアが強く、どこへ行くかわからない船を操っているようだった。危険回避をマジメに考えれば、コントロール性能は高いにこしたことはない。

新型には15インチと17インチ、2種類が用意されていた。先代と同じ15インチでも全然違うことが最初のターンでわかった。スキール音の派手さ加減が大いに違うし、新型は容易にインにつくことができる。開発陣が狙った「意図通りの走り」が達成されている。

17インチになると、普通のクルマのようにスムーズなドライブが可能だ。ロールはするけれど、先代のように腰砕けになることはない。狙ったラインを確実に走ることができるので、だんだん楽しくなってきた。下りのストレートの後の第1コーナーも、減速でとっちらかることがない。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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