トヨタ・プリウス・プロトタイプ

公開 : 2015.11.18 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • 前席ヒップポイントを59mm下げ、ダッシュボードもより低い位置に設置した。

  • 駆動用バッテリーを後席下に移設。これにより荷室容量は、502ℓと56ℓ拡大。

ただし、エンジンが先代の改良型であるため、回すと雑音しか発しない。アクセル開度を80%にとどめておけば、大変静かだけれど、男子たるもの、そういうわけにもいかない。内燃機関の持つ歓びに拘泥するタイプには、依然受け入れ難いに違いない。

ちなみにトヨタ社内には電気モーターだけでジワジワと加速し、最高速110km/hに達した猛者もいたという。先代プリウスでは到底不可能な数字だ。

■「買い」か?

ショート・サーキットでは進化の具合がよくわかったのだけれど、富士スピードウェイの構内の一般道においてはそうとも限らない。新型の方がエンジンとモーターの切り替えにしても乗り心地にしても、スムーズになっているとは思ったけれど、熟成された先代プリウスもフツウに走る限りはそう印象に差がない。最大の要因は1.8ℓの内燃機関を改良型にとどめたことだと思う。

さはありながら、燃費の面で新型プリウスは最高でリッター40kmの燃費を達成するという(目標値、JC08モード)。従来型の32.6km/ℓ比、20%以上の改善になる。

デザインが一新されたので、なにもかも新しいようだけれど、そうではない。従来のハイブリッド技術を深掘りし、ようするに細かい技術の地道なカイゼンによって目標を達成したのである。

新型にはニッケル水素とリチウムイオン、2種類のバッテリーが用意されている。なぜリチウム一本に絞らなかったかというと、生産が追いつかないからだ。350万台送り出したニッケル水素電池を突然やめるわけにもいかない。

ニッケルとリチウムで、価格とサイズ、性能に大きな差はない、というのがトヨタの主張だ。正式発表前のため詳細は不明ながら、このふたつはグレードによって使い分けられているという。リッター40kmを目標値にしたのはリチウム電池搭載車による。また装備充実車は車重を少しでも軽くするべくリチウムを使う。車両重量は、グレードは不明ながら、15インチ同士の比較で先代比プラス10kgの1360kgと発表されている。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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