プジョー308 GTi vs フォード・フォーカスST
公開 : 2015.11.18 23:20 更新 : 2017.05.29 19:30
ステアリングの作りこみはフォーカスSTの方が遥かにいい。ホットハッチのステアリングとはこんなものですよ、とそこはかとなく主張しており、対する308 GTiのステアリングは安ホテルの朝ごはんみたいだ。
ボンネット下には、先述のとおりケイマンを物ともしないパワフルな4気筒エンジンがターボチャージャーとともにおさまっている。
308 GTiのツイン・スクロール式のブローワーは1.6ℓのプリンス・ユニットを手助けすることで、1900rpmにて33.6kg-mのトルクを生みだす。
より大きなインタークーラーとあたらしいエンジン・マッピングが自慢のフォーカスSTは、オーバーブースト時に2.0ℓエコブーストから40.8kg-mを発生する。
後者は4WDのゴルフRを上回ることを意味する。マウンチューンは機械式のLSDを与えなかったのだが、エレキ・パワーの助けによりトラクションを確保する。
308 GTiにもホットハッチらしいチューンが施されているが、こちらは日常域の利便性まで考慮して前輪のトルク分配用のハードウェアを組み込んでいる。RCZ Rと同じLSDなのである。
フォーカスSTのエンジンは、思わず好きになってしまうキャラクターである。映画 ‘硫黄島の砂’ に出演していた時のジョン・ウェインみたく、低くぼそぼそとした声を発するからというだけでなく、頼りになる力づよさが広い回転域でもつづくからだ。
レヴ・レンジの半分まで回した程度ならば ‘過剰’ だと感じることはなく、徹底してリニアであろうとしていることがわかる。
だからといって中庸なキャラクターだと感じないのは、やや記憶が薄れつつあるレボナックルが絶妙なステアリング・フィールを紡ぎだしているからだ。