ドライバーズカー選手権2015 / フェラーリ488GTB vs ポルシェ911 GT3 RS vs アリエル・ノマド
公開 : 2015.11.25 23:50 更新 : 2017.05.29 20:02
だから私もノーフォークからヨークシャーへとドライブできてうれしかった。GT3 RSだと神経質な部分があるし、ノマドだと凍え死んでしまうような長い旅路を、モダンなミド・スーパーカーはこともなげに走らせてみせる。曜日やシチュエーションを問わずに楽しめるクルマこそ、優れたドライバーズカーなのだとも思える。
忙しないモーターウェイとヨークシャーの村にまたがる道を離れれば、喜びはさらに増してくる。扱いにくいと感じない程におさえられた車幅と、だんだんと馴染んできたステアリング・スピードのおかげでもある。
エンジンがこれまでの ‘反社会的’ なものから、洗練されたものになったこともうれしい。望んだ時に望んだ回転数を与えてくれるのもうれしい。9000rpmまで常に回してやらなければおもしろくない……というような強迫観念(にちかいもの)にビビらずにすむのもいい。
常に9000rpmまで回さなければならないのはもう1台の方だ。となりに停まったGT3 RSの中からニック・カケットが一言。“God, I love this car!”
なるほどこちらも興味深い。
数日GT3 RSと過ごせば、カケットの言葉の真意がわかる。精密なマシンであることが外から見るだけでもひしひしと伝わってくる。エンジンも極めてピュアである。いや、‘モダンなクルマのなかで許されるかぎり’ ピュアである。
997世代のGT3 RS 4.0に乗り比べれば、さらに生き生きとしているとも感じるはずだ。確かに乗り味は硬いし、フロントのスポイラーはかなりの頻度でガリガリと擦ることになるのだが(幸いなのは割れやすいカーボンではなくフレキシブルなラバーである点だ)、ひどい道でもお尻が痛くなるほど(あるいは走り屋のお兄ちゃんのクルマほど)硬くはない。
それに488よりも視界は広いし、スロットル・レスポンス負けていない。PDKだって、フェラーリのトランスミッションと同等のレベルである。同じ道を走るかぎり、488 GTBとGT3 RSのあいだに差は感じない。
ならばノマドである。