アルピナD3ビターボ・ツーリング
公開 : 2015.11.27 23:40 更新 : 2017.05.29 18:24
道路表面のニュアンスはきちんと伝わるため、魔法の絨毯とまではいえないが、凹みや隆起による衝撃はすっかりと丸めこんでしまう。サスがクラッシュするのは極々稀なできごとだ。
スポーツ・モードにすると、D3の足腰は最大限のグリップを引きだすためにギュッと引き締まる。スロットル・レスポンスもシャープになり、アシも硬くなったことがすぐにわかる。
コンフォート・モード時の、水面を進むような感覚はなくなり、思わずこちらも背筋が伸びる。しかし、不快に感じることは皆無。ステアリングの重みも、このモードに倣っている。
速度を増していくと、ステアリングから伝わる情報量もコンフォート・モード時より増えていることに気づく。自信が増す。自然とアクセルを強めに踏んでしまう。
ファミリー・ワゴンがパフォーマンス・モンスターに転じる瞬間である。
たった今までおとなしく回っていたエンジンは溢れんばかりのトルクを後輪に激しく伝えるようになる。オプションのLSDも£1,900(35万円)の価値があると感じる。
コーナーでも車体は粘りに粘る。あぁ、エキゾチックとはこのことかと、ひとり息をのんでしまう。驚嘆という言葉は、このクルマのためにあるのだと感じる。