ランボルギーニ・ウルスにはV8ターボ・エンジンを採用
公開 : 2015.12.02 22:45 更新 : 2017.06.01 01:41
2018年デビュー予定のランボルギーニ・ウルスについて、パワートレインは、同社初のV8ターボ・エンジンが搭載される。
CEOのステファン・ヴィンケルマンと開発部門を取り仕切るマウリツィオ・レッガーニは、AUTOCARの取材に対し、LM002以来となる4×4モデルについて、ウラカンやアヴェンタドールのような自然吸気のV10やV12を採用しないことを認めた。その代わりに搭載されるのは4.0ℓ8気筒のツインターボ・チャージド・エンジンで、ヴィンケルマンはこの決定を、同社にとっての「大いなる一歩」とコメントしている。
ターボ・ユニットの採用はCO2排出量の面で有利となるうえ、出力の向上、低回転域のトルクアップをもたらし、オフロード・モデルとしての真価と、ランボルギーニらしい強力な最高出力を約束するものだ。
レッガーニは次のように語っている。「加速の面でもオフロードの走破性についても、高い水準のトルクを生むことが大変重要なのです。これにより可能な限りスピードを高め、不整路でも易々と前へ進むことができます。われわれは、ターボ化こそが、スーパースポーツSUVに求められる最良の解であると考えました。エンジンは軽量かつパワフルで、それに加えて、あらゆるコンディションに対応できるような低回転域のトルクが必要なのです」
「サーキットでは、エンジンも、シャシーの制御も全てこうした要件を満たしています。来春にはこのモデルのオフロード性能の評価を始める予定です」
「とくにエンジンは、ランボルギーニ専用のユニットで、他のモデルには搭載されません。このレンジで最もパワフルなエンジンを目指しますから、われわれのブランドにふさわしい魅力を備えることになります。パワーとトルクはもちろんですが、トランスミッションとシャシーの制御についても正しい選択をしなければなりません。それにはランボギーニらしい味付けが必要なのです」
ヴィンケルマン自身も、開発初期のV8ツインターボを用いたテストに顔を出し、ライバルとなるラグジュアリーSUVモデルに対抗するスペックを確認している。
「この秋、サーキットでプロトタイプのステアリングを握りましたが、パフォーマンスは非常に素晴らしいものでした。驚いたのは、われわれの期待を超えていた点が多々あり、パワフルでありながら運転しやすく、ハンドリング性能に優れていたことです。ドライバビリティと室内環境については “SUVのリムジン” と呼べるものでした」
「ランボルギーニの名に恥じないモデルですよ。SUVの中で一番の速さを誇るクルマになるのですから、スーパースポーツSUVに値するエンジンを用意します。このモデルは、われわれのブランドのDNAにマッチしたクルマを目指しており、ドライブを楽しみつつ、オフロード性能も高いものにしますが、重視するのはオンロード性能のほうですね」
「本当に重要なステップなのです。エクステリア・デザインは、多少の調整を残すのみで、もうほぼ完成と言えるでしょう。このクルマを目にしたら、北京で披露した赤いコンセプト・モデルを思い浮かべるかもしれませんが、今はもっとルーミーで、デザインもさらに前衛的になっています。最高のモデルに一歩近づいたのです」
ヴィンケルマンは、バッテリーとモーターの搭載も考慮されているウルスについて、プラグイン・ハイブリッド仕様についてはまだ先のものだとしている。しかし、ウラカンとは異なり必ず4輪駆動を守る考えだ。なぜならウルスは本質的にはオフロード走破性能が売りのモデルであるからだ。加えて、アヴェンタドールについても、そのパワーと安全性を考慮し、2輪駆動モデルを用意するつもりはないそうだ。
ウルスにハードコアなスーパーヴェローチェや、よりラグジュアリーなスペシャル・エディションを作ることも検討されている。
「われわれには様々なアイディアがありますが、なにひとつ確定したものはありません」とヴィンケルマン。「しかし、あらゆる選択肢に可能性が残っています。ただ、われわれはローンチ時の評価を上げることにまず取り組まなければなリませんからね。多くの顧客の要望を満たすための努力は、それからです」
今年初め、ウルス ーー このネーミングが使われるかどうかはまだ決定していないが ーー 2018年から正式に生産されることが決定している。ベースとなるのはアウディQ7、そしてベントレー・ベンテイガと同じプラットフォームで、価格は£150,000(2,880万円)前後を予定している。
ヴィンケルマンは、プロダクション・モデルのウルスは、コンセプト・モデルよりもより快適なキャビンが与えられる一方で、そのエクステリアはコンセプト・モデルを引き継ぐことになるという。「プロダクション・モデルは、コンセプト・モデルから進化していますよ。それでも、ピュアなランボルギーニ・スピリットは失われていません。確かに、コンセプト・モデルに対してプロダクション・モデルは、内部が少し異なるフィーリングとルックスを与えています。というのも、ウルスは年間を通して家族のファースト・カーでありえる可能性が高いでしょうから。そのため、ドライバビリティ、快適さ、広さなどをより進化させたのですが、トップ・スピードやパフォーマンスと同様に、例えそれが渋滞の中であってもランボルギーニのエモーショナルな部分を失わないよう心がけています」
新型はボローニャはサンタアガータで製造される。アウディQ7やベントレー・ベンテイガのようにスロバキアで製造するという手もあったが、イタリア国内で製造するという確約のもと、イタリア政府は、ランボルギーニに対して税制優遇措置を出したのだった。ランボルギにはこのウルスを生産するために500人の新しい雇用を生み出すことにもなっている。
予測によれば、ウルスの年間生産台数は3,000台になるとされる。スーパープレミアムSUV市場が伸びていることを考えると、その数は更に伸びるかもしれない。いずれにせよ、ウルスはランボルギーニのセールスを現在の2倍以上の押し上げる、ベストセラー・ランボルギーニになることは間違いない。