text & photo:Daisuke Ebisu (戎 大介)
11月28日、いちょう祭りで賑わう明治神宮外苑は聖徳記念絵画館において「2015 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」が開催された。今回で9回目の開催となるこのイベント、昨年は残念ながら雨に見舞われたが、今年はまさに秋晴れの中、稀少なクラシックカーたちが美しいいちょう並木に劣らぬ輝きで人々を魅了していた。
このイベントを主催するトヨタ博物館は国内外の歴史的名車を数多く収蔵している、我が国でも最大規模の自動車ミュージアムだ。約140台を常設展示しているというコレクションの中から、今回は「引き算で合理性を求めたクルマたち」というテーマで特別展示が行われた。選ばれたのは1918年型フランクリン・シリーズ9、1955年型フライングフェザー、1959年型ダフ600、1960年型シボレー・コルベア、1970年型ホンダ1300クーペ9といった、革新的な軽量・コンパクトカーだ。
いずれもその時代の中で求められた性能を小型化や軽量化、機構の単純化などに求めたクルマたちで、奇しくも空冷式エンジンを搭載するという共通点を持っている。その中でも今回、大きな話題となったのはフランクリン・シリーズ9。当時より早稲田大学が所有していたものをトヨタ博物館に寄贈され、2年間をかけたレストレーションが完成したばかりの個体だ。当日は展示の他にも絵画館前の特設コースにおいてフライングフェザーやダフ600と共に実際に走行する姿を披露した。
そして、このイベントの目玉のひとつがクラシックカーによるパレード走行だ。いちょう並木から青山通りを通り、国会議事堂前を経て銀座中央通りをパレードし、再び神宮外苑へと戻ってくる約11kmのコースを約100台ものクラシックカーが走った。
特筆すべきはその大部分がオーナーカーであり、公道走行が可能なコンディションに維持されているという点であろう。その姿は名車を見に来たクルマ好きはもちろん、名物のいちょう並木を見物に来た家族連れや海外からの旅行者など、ここ神宮外苑を訪れた多くの人々にクルマ文化の奥深さを知らしめていたように感じた。
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当日、聖徳記念絵画館前に設けられた会場には、約29,000人(主催者発表)もの人々が訪れた。
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アルミボディや木製フレームを取り入れ、高い信頼性を誇るフランクリン・シリーズ9は1918年製。
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戦後の物資が窮乏する中で、安価で実用的な大衆車を目指して製作されたのがフライングフェザー。
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オランダ戦後初の国産車となるダフ600。初めてCVTを実用化し、独立懸架など先進的な装備を持つ。
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欧州製コンパクトカーへの対抗馬として送り出されたシボレー・コルベア。ユニークなリアエンジン車だ。
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大衆車パブリカのコンポーネンツを元に製作された軽さを武器にしたスポーツカーがトヨタ・スポーツ800だ。
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ホンダ1300クーペ9はホンダ・コレクションホールからの特別出展。
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ホンダ1300に積まれるDDACエンジン。繊細な空冷フィンが美しい。
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記念乗車撮影車とされた1963年型シボレー・コルベットスティングレイ。
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記念乗車撮影車として並べられた1959年型BMWイセッタ。
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1961年型ジャガーXK150Sも記念乗車撮影車として展示された。
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フランクリンは縁のある人々を乗せて、実際に走行する様子を披露した。
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軽やかな走りを見せるフライングフェザー。突き出た腕木式方向指示器が、なんともカワイイ。
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DAF600にはバリオマチックと呼ばれるゴムベルト駆動によるCVTミッションが搭載されていた。
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トヨタ博物館館長の布垣直昭氏と、パレードの先導車を務めた1960年型トヨペット・クラウン。
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1926年型 ロールスロイス・シルバーゴースト
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1931年型 フォード・モデルA フェートン
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1967年型 メルセデス・ベンツ250SL
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1953年型 メルセデス・ベンツ170S
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1974年型 フェラーリ365GT4/BB
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1967年型 ヒルマン・インプ
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1964年型 モーリス・ミニクーパー970S
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1968年型 スバル360
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1967年型 ダイハツ・コンパーノ スパイダー
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1962年型 ダットサン・ブルバード
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1964年型 ダットサン・フェアレディ1500
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1961年型 ニッサン・セドリック・バン
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1971年型 ニッサン・スカイライン・ハードトップGT-R
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1957年型 トヨペット・マスターライン・ピックアップ
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1957年型 トヨペット・クラウン
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1962年型 トヨペット・クラウン・デラックス
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1967年型 トヨペット・クラウンS
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1972年型 トヨタ・クラウン ハードトップ2600
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1976年型 トヨタ・クラウン
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1967年型 トヨタ・パブリカ800
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約100台ものクラシックカーたちが秋の都心を堂々とパレードした。
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中島秀之氏MCによる参加各車の紹介やオーナーのインタビューのコーナー。
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ミュージアムショップでは会場限定グッズやトヨタ博物館アイテムを販売。
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交通安全コーナーでは道路での「ヒヤリ・ハット」をシミュレーターで体験。
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四谷警察署のブースでは本物の白バイにまたがって撮影できるコーナーも。
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「Food Garage」と名付けられた飲食コーナーも会場内に設置された。
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イベント柄かVWタイプ2のケータリングカーでの出店が多かった。