ポルシェ911カレラ
公開 : 2015.12.07 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
スロットル・レスポンスは、針のようにとてつもなく鋭いとはいえないが、これまでに比べて悪化しているなんてことはまるでない。
オーケストラのフィナーレのように、調和のもとに盛大に盛りあがり、弾ける。たった2000rpmあたりで45.9kg-mのトルクが流れ込んできたかと思えば、怒涛の加速がこれでもかとつづく。
これまでポルシェがわれわれを魅了したドラマティックなクレッシェンドとは一味ちがうものの、いい意味で古典的で太いフラット6の ‘演奏’ は、古来のポルシェそのものである。
乗り心地とハンドリングも改良された。新世代のPASMアダプティブ・ダンパーはカレラ/カレラSで標準となり19インチの後輪はトレッドが大きくなっている。
スプリング・レートやアンチ・ロールバーの数値も吟味しなおされており、車高は先代の標準サスペンションを組み合わせるものより10mm低くなった。
乗り味は引き締まっているが、車体は常にフラット。これまでより巧みに衝撃をいなしている。これまでの911はバンプを踏むとフロントがぴょこんと跳ねる傾向にあり、それゆえステアリングを不必要に揺することがあったのだが、現行では看取されない。
車体の反応もタイトで、以前よりも密接につながっていると感じる。エンジンがどこに搭載されているかを感じさせながら、ムダな突きあげを素早く丁寧に丸めこんでいる。