ルノー・メガーヌGT
公開 : 2015.12.10 23:55 更新 : 2017.05.29 19:22
パフォーマンス・モデルを謳うだけの満足度があるか? ステアリングは濃密な重みがあり、パワフルなハッチバックに対して十分に正確だといえる。それにロック・トゥ・ロック2.3回転というのも魅力だし、舵角が増すにつれてドッシリと重みが増すのもいい。
しかしフィードバックと呼べるものがほとんどない。結果的に、手先がしびれている時のような感覚がステアリングにある。クルマと一体になっているという気持ちになれない。
低速域では、前輪と反対向きに後輪が角度を変えるおかげで従来のクルマよりもサクッと向きを変えられる感覚がある。高速域では前輪と同方向に向きを変えるから、速度を落とさない車線変更でも高いスタビリティに安心できる。
ただし高速で峠道を攻めるのには向いているとはいえない。必要以上にクイックになりすぎるために、コーナーのたびに慌ててしまうのだ。どれくらいの舵角でどれくらい車輪が動くのかがジャッジしづらい。
しかしフロント・エンドのグリップには驚かされるし、(多くの人は予想よりもアシがやわらかいと感じるかもしれないが)ボディ・ムーブメントのコントロールもしやすい。
ブレーキ・ペダルを踏んだ際の感触はやや無骨だが、制動力も十分。パフォーマンス・モデルという立ち位置だけに初期の食いつきも力づよい。
ならばパフォーマンス・ハッチバックと呼ぶに値するかというと、クリオRS200のエンジンとEDCトランスミッションは ‘味わい深い’ といえる境地には達していない。どこか退屈で個性に欠けるのだ。
特に不満なのはEDCギアボックス。ゆっくり走るぶんには控えめでなめらかな変速をするのだが、さらにプッシュすると変速に迷うことがある。変速ショックもデュアル・クラッチATから想像するより大きい。