マニュアル・モードでも事態は好転しない。フォルクスワーゲンのDSGから想像するような切れ味はなく、じりじりと苛立ちがたまってくる。

一方でローンチ・コントロール・システムだけはかなり褒めることができる。スポーツ・モードにし、ブレーキを踏む。左右のパドルを同時に引いて、アクセルを踏みこむ。ブレーキを離せば、コントローラブルでありながら迅速な静止加速をやってのける。

路面コンディションがよくないと、トルク・ステアがやや看取されるが、トラクションも加点ポイントだ。

エンジンは残念ながら聴き心地のいい音を奏でない。特に6400rpmに近づくと、キメの粗い、ザラザラとした音になる。高回転域を楽しみたいとは思えなくなる。

中回転域は打ってかわって気持ちいい音がするものの、フォード・フォーカスのように冒険心を掻きたてるような音とはいいがたい。

28.6kg-mのトルクは、多くの2.0ℓのライバルに及ばないものの、インギア時の加速はかなりたくましい。用意されるモードは4つとなり、アクセル・レスポンス／ステアリングの重みを変えられる。モード間の違いははっきりとしている。

ハッチバックに求められる実用性は文句なくクリアしている。横方向の広さや足元の余裕はいうに及ばず、ドライブ・ポジションの調整幅が大きいのもいい。

クラッチ・ペダルの左側にはきちんとフットレストを設えており、おかげで長距離の移動もいくぶん楽だ。カスタマイズできるデジタル・ダッシュも、情報をクリアに伝えてくれる。

後席のスペースもたっぷり。180cm程度のパッセンジャーでも窮屈に感じないだろう。ただ、これが3人になると少し辛い。おまけに前席のヘッドレストが高い位置で固定されるため、前方の視界は良好とはいえない。