スズキ・ビターラ1.4 S

公開 : 2015.12.15 23:40  更新 : 2017.05.29 18:41

■どんな感じ?

言葉匠なメーカーの説明を読み、いざ走りだすと、説明ほどの感動がない、といったことが時にあるのだが、現行版ブースタージェット・エンジンは実際の走行でもとても優秀だと感じる。

小さなターボが仕事をはじめるまでにほんのわずかな動作の迷いが相変わらずある点は否定しないが、燃焼器をガソリンが満たし、1.1barで空気が与えられるころには、わずか1500rpmから一気にエンジンが吹け、レッド・ゾーンまで意気揚々と回る気持ちよさを味わえる。

変速。クラッチ・ペダルを踏んでみると、適度な重みとともになめらかにペダルが動いていく。ギアもストンッとゲートに飲み込まれる。特に2、3速では動作の抵抗が大きいが、感覚はとてもポジティブだ。

ステア・フィールは残念ながら、手放しに褒められるといった類ではないのは、常にわざとらしい重みが付きまとうから。一方でクイックであることは間違いない。だからいつも、鋭く、生き生きとした印象を受ける。

パッチワークの多い道の乗り心地は少し忙しない。先代よりも落ち着きに欠けるとさえ感じる。しかし速度が増せば落ち着きも増す。大きな凹凸によるハーシュネスは要領よくいなすため、段差のたびに歯を食いしばる必要もない。

シトロエン・カクタスなど、多くのライバルよりも硬いのだが、おかげでハンドリングにいい影響をもたらしている。カクタスが狼狽するようなコーナーでもビターラは常に落ち着いている。横方向のGにも強い。

要領よくダンピングするため、うねりの多い道でも車体が前後左右に傾くことはない。まずまずの速度でコーナーに飛びこめば、ある種の熱狂さえ感じるほどで、これは楽しいと思えた。

4WDのおかげでねばり強くもある。さすがにアクセル・ペダルを一気に床まで踏むと、前輪が路面をつかむまでにわずかなロスがあるが、後輪は常にぴたりと落ち着いている。掴んで離さないという言葉がぴったりだ。

高速道路の場合、路面状況が悪いとロード・ノイズが聞こえてくるが、風切り音はとても巧みに抑制されている。これに関しても小さなクルーザーとしては合格点である。

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