この性能レベルのFR車としてはリアのグリップ限界も高く、ステアリングやシートから伝わってくる接地感はなぜかRC Fより濃厚だ。サーキットや一般道を問わず「GS Fのほうが安心してアクセルを踏める」と感じる向きが多いはずである。

そうしたGS Fの操縦性にとって、標準装備のTVDは非常に面白いアイテム。3種のモードから一般ワインディング向けの“SLALOM”に設定して、積極的にアクセルを踏む運転をすると、きっちりとグリップを保ったまま、じわじわと回り込んでいく……という理想的なFRの走りを自然と完成させてくれるのだ。

■「買い」か?

先に公開されたAUTOCAR英国版の試乗記で、このGS Fがあまりホメてもらえていないのは、日本人としてちょっと口惜しい。なるほど、絶対的なパワーはターボ過給の競合車ほどではなく、あくまでアナログ技術で突き詰めれられた高性能ゆえに、わかりやすいギミックや炸裂感がないからか。