スマート・フォーフォー
公開 : 2015.12.16 23:50 更新 : 2021.10.11 08:58
■どんなクルマ?
今でこそ小型実用車の大半はFWD=前輪駆動だが、1960年代まではそうではなかった。ヨーロッパの国々では、ボディ後端にエンジンを積んだリア・エンジン、いわゆるRRの小型車が最も幅を利かせていたのだ。
西ドイツには世界のベストセラーたるVWビートルの他にBMW700やNSUプリンツがあり、フランスにはルノー4CVやディアーヌやR8があったし、イタリアの道路はフィアット500や600や850が埋め尽くしていた。さらに、ミニの登場によってFWDの優位性を世界に知らしめたイギリスにさえ、ヒルマン・インプというリア・エンジン車があった。
その後、リア・エンジンというとスポーツカーのポルシェにしか存在しない時代が長いこと続いてきたが、ここにきて新種のリア・エンジン小型実用車が登場してきた。ダイムラーがプロデュースするスマート・フォーフォーと、その姉妹車のルノー・トゥインゴである。
実は2シーターのスマート・フォーツーは、もともと後輪の後方にエンジンを横置きしたリア・エンジン車だったが、それが今年ブランニューの新型にモデルチェンジする際、そのロング・ホイールベース版として、4ドア4シーターのフォーフォーが登場したのだ。
実は以前にも4ドア4シーターのスマート・フォーフォーは存在したが、それは当時提携関係にあった日本の三菱コルトをベースにしたフロント・エンジンの前輪駆動車だったから、リア・エンジンのフォーフォーは初めての登場なのである。
で、新型フォーフォーはどんなクルマかというと、全長3495×全幅1665×全高1544㎜という、日本の軽自動車を別にすれば、今日の4座ハッチバックとしては最も小さい部類のボディのリア・アクスル後方に排気量1ℓの3気筒エンジンを横置きし、後輪を駆動するモデルだ。この小さなボディにトリディオン・セーフティセルを採用して、クラッシュ時の安全性に配慮しているのがメルセデスらしい。