スマート・フォーツー

公開 : 2015.12.20 23:50  更新 : 2021.10.11 08:58

■どんな感じ?

フォーフォーのフロント・ドアよりサイズの大きいドアを開いて2座のキャビンに収まると、目の前に展開されるのはフォーフォーと同じ景色である。ダッシュボードやメーターパネル、ステアリング・ホイール、コンソールなどのデザイン、それにドライバーズ・シートも、フォーフォーのそれと変わらないからだ。

しかし、ダッシュのボタンをプッシュして3気筒エンジンを叩き起こし、走り出してみると、ドライビング・フィールがフォーフォーとはけっこう異なることが分かる。

そのなかで、フォーフォーとの違いを最も顕著に感じたのは、そのパフォーマンスだった。すでにリポートしたように、フォーフォーは発進直後の加速が少々トロく、できればターボ仕様の乗ってみたいと思ったものだが、フォーツーは違った。スロットルを深く踏み込むとスィっとスタートし、フォーフォーよりずっと元気よく加速していくのだ。

その加速感がフォーフォーとあまりにも違うので、車重が200㎏くらい軽いのかと想像したほどだが、後にスペックを見て驚いた。フォーツーの車重は940㎏あって、フォーフォーよりたった65㎏、ほぼ大人ひとりぶん軽いだけなのだ。しかも燃料タンク容量も35ℓと変わりない。

さらに発進加速だけでなく、ターンパイクの上りを駆け上がる勢いもフォーフォーより明らかに活気があり、到達速度も歴然と速い。となると、前に乗ったフォーフォーとのエンジンの個体差を疑いたくなったほどだが、それをたしかめる術はなかった。いずれにせよ、フォーツーなら敢えてターボを選ぶ必要はなく、NAで充分走ると実感した。

もちろんパフォーマンスだけでなく、他の分野にもフォーフォーとの違いはあった。そのひとつは乗り心地で、フォーツーの方が脚が硬い印象をうけ、不整路面でのゴツゴツ感をより明確に感じる。とはいえその乗り心地は、先代のフォーツーと比べると明らかに快適になっているが。

記事に関わった人々

  • 吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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