BMW X1
公開 : 2015.12.21 23:50 更新 : 2017.05.23 10:24
■インテリア
“明るいうちに見るキャビンは、フレッシュ。日が沈んでからはクラシカルな香りもする。悪くない。” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)
エンジンの向きを、これまでから90度変えたことは、もちろんキャビンにも反映されている。もっとも実用性に欠けるクロスオーバーという先代のレッテルを見事に払拭している。
先代より座面高は30mm高くなっているが頭上のスペースも十分。足元も窮屈に感じない。後席はスライド式(オプション)となっているため、こちらも広々としている。よってクラスを牽引する日産キャシュカイ(日本名:デュアリス)やメルセデスGLA、アウディQ3などのプレミアム・ライバルたちに差をつけている。
荷室も広い。車格だけに左右にゆとりがあるとはいえないものの、長さ/深さともに不満はなく、後席は40/20/40の分割可倒式となり、ホールド時のフロアは完全にフラット。大きめのラゲッジもすっぽりだ。
前席をフラットにすることも(オプションだが)可能。かなり実用的になっているとBMWが鼻高々な理由がよくわかる。
キャビンの質感も、プレミアム・ブランドを名乗るにふさわしい。素材の質感は高く、(何度もいうが)先代とは比べものにならない。窓の上下のサイズゆえ、包まれている感覚があり、ウインカー・レバーやボンネット開閉用のレバーを含め、かなり吟味を重ねていることがわかる。カチリとしているし、動作はなめらかだ。
上部はやわらかい素材を使用しており、アルミやサテン・クレームを平行方向に挿している。テスト車の場合、レザーの質感も高い。ギア・セレクターを含むスイッチ類のレイアウトはBMWの例に漏れず良好。夜間に目に入る赤いアンビエント・ライトは、車格以上の高級感を演出している。
前後席ともに収容力はかなり高く、アームレスト下の小物入れも大きい。ドアに用意されるペットボトル入れは1ℓのものを入れるのにも十分なサイズだ。
もっと厳しい目でみれば、後席用の12ボルト・ソケットや後席中央のアイソフィックス(チャイルドシートの固定様式の国際標準規格)適合など、欲しいものもあるにはあるが、総合的に見て、キャビンの完成度から欠点を見つけることはむずかしい。満点である。
一方、エントリー・グレードの装備内容は、車両の価格を正当化するにはいまひとつである。ナビ、DABラジオ、CDプレイヤー、USB接続、ブルートゥース・メディア・ストリーミングは揃っているものの、だからといってカスタマーを震撼させるような装備は皆無である。