フォード・シェルビーGT350Rマスタング
公開 : 2016.01.05 23:50 更新 : 2017.05.29 18:53
911 GT3が一瞬の隙もみせぬ盤石のシャシーとコミュニケーション能力のたかさでドライバーを楽しませる反面、GT350Rは巨大ハンマーで後ろから叩きあげるかのようなパワー感でアピールしてくる。
電制ステアリングは情報をオーバーに伝えることはせず、かといってコミュニケーションをむずかしく感じさせない。
ペダルの配置もとことん拘ったとは思えず、それゆえヒール&トーもトリッキーではあるし、車体の恰幅のよさと1680kgの車重をつねに感じるが、911 GT3に負けているといった印象はない。
ただし、GT350Rが911 GT3の存在をかすめさせているかと問われると、首を縦には振りづらい。およそ£58,000(1,021万円)の価格と内装パーツのフィッティングがそう感じさせるのだろう。
純粋なドライブを堪能したい向きにとって、911 GT3がPDK一択であった点は賛否の別れどころであるが、やはりサーキットと一般道におけるキャパシティの両立の仕方はポルシェの独壇場だと感じる。
さらにとてつもなくワイドなGT350Rのタイヤは、路面のあらゆるうねりを如実に伝えてくる。
ネバダ州のなめらかな道をダンパーをやわらかくした状態で走るかぎり、乗り味はさして悪くないが、盛大なロード・ノイズや、つねにキャビンに反響するエグゾースト・ノートは、好き嫌いに関係なく覚悟しなければならない。