メルセデス・ベンツA180スポーツ

公開 : 2016.01.05 23:45  更新 : 2021.10.11 08:58

■どんな感じ?

今回試乗したのは、ベーシックなA180シリーズのトップモデル、A180スポーツだった。これは、AMGスタイリング・パッケージや、標準型A180の16インチに対して18インチのAMG 5ツインスポークホイールに225/40R18タイヤを組み合わせた足元など、ぐっとスポーティなエクステリアを持つ。

カーボン・デザインのインテリア・トリムにレザーDINAMICAブラックを組み合わせたキャビンも、エクステリア同様にスポーツライクなもので、スポーツのバリエーション名に相応しい雰囲気を醸し出している。

スポーティなボディ・ラインからも想像できるとおり、居住空間はCセグメントの模範児たるVWゴルフほど広くはなく、特にリアシートはこのクラスのハッチバックとしてはややタイトな部類だが、4人の大人が普通に寛げる空間は確保されている。

スポーツとはいえ、パワーユニットは標準型A180と変わらず、1.6ℓから122ps/5000rpmと20.4kg-m/1250〜4000rpmを生み出す直4ターボと7段DCTの組み合わせだが、1440kgの車重を走らせるパフォーマンスに不足はなく、踏み込めば回転を問わず気持ちよくスピードを上げていく。普段乗りにはこれで充分だろう、という加速を見せてくれるのだ。

上記の18インチ・ホイール&タイヤを標準型と変わらぬサスペンションに組み合わせた脚は、実用車としては硬めな感触を示すものの、ゴツゴツした粗さはなく、乗り心地はクルマのキャラクターにマッチしたスポーティなものだといっていい。

その一方で、18インチ・タイヤとダイレクト・ステアリングを標準装着した効果は、クイックなステアリング・レスポンスに現れている。ターンパイクのコーナーを攻めてもノーズが素早く向きを変えるし、そこからの脱出に際しても軽いアンダーステアがキープされて、ハンドリングは実際の車重よりも軽快な印象を与える。

つまりA180スポーツは、強力なパフォーマンスこそ備えていないものの、その乗り心地やハンドリングの感触にスポーツの名をイメージさせる、まさにスポーツライクな実用車に仕上がっていると感じた。

記事に関わった人々

  • 吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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