フォード・マスタング vs BMW M235i
公開 : 2016.01.06 23:50 更新 : 2017.05.29 19:30
いかにも耐久性がたかく、ブルドーザーみたいにたくましい。オリジナリティに富み、かつチャーミングさも考慮されている。
M235iに比べると座面高は高めだ。大きなバンプを踏み越えると、ドスンと衝撃が臀部に伝わる。BMWだったら苛立っていたかもしれないが、マスタングだと違和感を感じないのは、これまでの慣習だろうか。
しかしこれまでのモデルほどワイルドではないのは確か。利口なM235iには及ばないものの高速道路の継ぎ目を越えるたびに不躾な衝撃が伝わるようなことはない。
全般的な印象はおだやかであり、これを ‘男らしくない’、あるいは ‘マスタングらしくない’ と捉えるか。もしくは ‘洗練された’ と捉えるかは意見の別れどころ。
あたらしいサスペンションとダンパーが、そう感じさせている大きな原因となっている。
V8はクイックな吹けあがり方をし、7000rpmのリミットに向けて、低くゴロゴロと唸りながら到達する。
BMWの6気筒や、アウディがつくる8気筒の自然吸気に比べると、マスタングの方がかなりラフ。筋肉質でゴワゴワとしている。
クラッチやギアレバーの操作感は重い。スピードを出してコーナーを切り抜けるために、全身運動が必要となる。タンクトップを着て、長いソロを行うマッチョなギタリストをなぜか思いだす。
もちろんこのクルマには、マルチ-モードのトラクション・コントロールがつく。しかしV8の生みだすマッシブなトルクの管理は、控えめにいっても甘すぎる。
ただ、(少なくとも私にとって)特に悪いことではないと感じる。完全に手なずけることのできるマスタングを誰が望むだろう? ジャンクションやラウンダバウトを斜めに滑らせながら飛びだす。これがマスタングなのだ。