ポルシェ911ターボS
公開 : 2016.01.21 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
ポルシェにとってターボの存在がイレギュラーなものではなくなりつつあるが、ターボSに関しては、ほかのモデルと ‘似たもの’ と思ってはならない。
■どんなクルマ?
”あたらしいポルシェ911ターボSには乗った瞬間から度肝を抜かれる”。南アフリカはキャラミ・サーキットを走らせたあと最初の一文はこれにしようと決めていた。
なかでももっとも驚かされたのは、たった2年でこれほどまで変わるのかという点だ。2013年、‘前期型’ が登場した際にも、脳天をぶち抜かれるかのような加速に心底震えあがらされたというのに。
すごいというよりもむしろ恐ろしい。
最新のモデルは静止状態から100km/hまでをわずか2.9秒で決めこむ。0.2秒も短縮されているのだ。最高速度は公表値をみるかぎり330km/hということになっている。すべてが異次元なのである。
同じく南アフリカのヨハネスブルグを走らせると、ダイナミクスの面も際立って進化していることがわかった。多くはこれまでと同じなのだが、キャラクターは濃密なものになっている。記憶に深く刻まれやすくなっている。
あたらしい911ターボSを突き動かすのはユーロ6に対応した3.8ℓの水平対向6気筒ツイン・ターボ・エンジン。
燃焼効率を高めるために、燃料噴射システムやインレット・ポートを見直し、58mmの可変静翼ターボチャージャーをあてがった。これまでの911ターボが56mmを使用していた代わりに。
おかげで最高出力も20ps高まって6750rpmで580psを叩きだす。ターボSでなく911ターボに比べると50psのアドバンテージであり、1600kgの乾燥重量ゆえパワー・ウエイト・レシオは363psにのぼる。
1000kgを馬363頭で引っぱるのである。