フォルクスワーゲン・ゴルフ・トゥーランTSIハイライン

公開 : 2016.01.25 23:50  更新 : 2021.10.11 08:58

首都高その他を走った限りではハンドリングも素直なもので、全高1600㎜を超えるMPVであることの不安感を意識せずにドライビングできる。ただし、同じことは以前ゴルフⅦでも感じたが、レーンキープアシスト作動時にステアリングに不自然な反力を感じることがあるのが、ちょっと気になったところだ。

一方、フロントにベンチレーテッドを配した4輪ディスクのブレーキは、ナチュラルなペダルフィールを含めて、頼りになる存在に思えた。

■「買い」か?

フォルクスワーゲンは、1950年代からビートルのプラットフォームをベースにしたType2、別名マイクロバスを生み出すなど、ピープルムーバーの老舗といえるメーカーである。だからその伝統が、今日のMPVもしくはミニバン造りにも生かされていても不思議はない。

リアエンジンのType2時代から、フォルクスワーゲンのピープルムーバーやバンは乗り心地が乗用車並みに快適だったものだが、その伝統はリアサスペンションに独立懸架を奢ったトゥーランにも見事に受け継がれているといっていい。それは、剛性の高いボディとよく動く脚によってもたらされるものだからだ。

そのうえ現代のフォルクスワーゲンMPVは、ユーロNCAPにおける5つ星獲得が示すように、安全性においても特記すべきものを持っている。

ある種の和製ミニバンのように、キラキラと輝く巨大なグリルは持たない代わりに、実用性の高い居住空間と快適な乗り心地、それに安心感のあるドライビング感覚を備えたゴルフ・トゥーラン。1830㎜の全幅と、ハイラインを選ぶと400万円に近づくプライスが特に気にならないという7人乗りユーザーもしくはその予備軍には、重要な選択肢になり得るクルマだと思う。

(文・吉田 匠 写真・神村 聖)


フォルクスワーゲン・ゴルフ・トゥーランTSIハイライン

価格 3,769,000円
全長×全幅×全高 4535×1830×1660mm
ホイールベース 2785mm
乾燥重量 1560kg
エンジン 直列4気筒1394ccターボ
最高出力 150ps/5000-6000rpm
最大トルク 25.5kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス 7速DSG
サスペンション マクファーソン / 4リンク
ブレーキ ベンチレーテッド・ディスク / ディスク
タイヤ 215/55R17
燃費(JC08モード) 18.5km/ℓ


▶ 海外初試乗 / フォルクスワーゲン・トゥーラン1.6TDI 110 SE
▶ 海外初試乗 / フォルクスワーゲン・トゥーラン1.6TDI SE

記事に関わった人々

  • 吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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