フォルクスワーゲン・カラベル

公開 : 2016.01.30 23:50  更新 : 2017.05.29 18:57

■パフォーマンス

“2.0ℓのBiTDIエンジンを搭載したテスト車の0-97km/hタイムは11.6秒。平均燃費は13.4km/ℓを記録した” ― マット・プライヤー (ロードテストエディター)

£45,000(761万円)程度の7シーターSUVであるアウディQ7ボルボXC90は97km/hまでを8秒以下で駆けるのに対し、カラベルは公表値が約10秒であるにもかかわらず、実際のテストでは11.6秒を要した。

しかしわれわれは、これに関してネガティブな考え方をしていない。カラベルより大きいSUVよりも実用性は優っているし、悲嘆するほどの遅さではないと思っているからである。

低〜中回転域のトルクには不足を感じないうえ、向かい風や坂道でも気が遠くなるような重さではない。スロットル操作に対する反応もよく、ハイ・ギア時の2000rpm以下でもリラックスして前に進める。

エンジンもディーゼルから想像するよりはるかに静かだ。たしかにアイドル時はやや騒がしいが、キャビンにいるかぎりはとても静か。短い鼻先を考えると、なおのこと室内の静けさに驚かされる。

ロード・ノイズも十分に抑制されておりウインド・ノイズも意外にも耳に届かない。48kg/h〜80km/hあたりでもXC90よりほんの数デシベルうるさいだけだった。

急いでいる時にシフト・チェンジをすると、多少車体が浮き沈みするうえ、ギアノブはクイックな変速に向かない傾向はあるが、シフト・フィールそのものはなめらか。他の同じようなギアボックスにくらべると、はるかに洗練された印象を受ける。

■乗り心地とハンドリング

“素早くコーナーに飛びこむと、おっとりとした反応が目立つが、スタビリティは言うことなし” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

正直に申しあげるとあまり期待していなかったのだが、実際に乗ってみるとカラベルの身のこなしに対して不満を述べるカスタマーは誰もいないのではと思った。

セアト・アルハンブラやフォード・ギャラクシーのようなMPVに比べるとあまり粘づよくないし、喜んで向きを変えるといった類ではないが、それも問題ではない。

こういったクルマにとって、狙ったラインをちゃんとトレースすることや、高速域でもバタついたりしないことが何より大事なのだ。カラベルにはその素質が十分にある。

安心できるコーナリングに多くのテスターが驚いていた。オプションの ‘ダイナミック’ サスペンションの味つけも文句なしだ。

何人かのテスターは、時に落ち着きを失うことがあったり、突きあげを感じる点を指摘したが、あくまでベースは商用バン。それを求めるならば、もっと高いクルマを買うしかない。

ステアリングはダイレクトであり、速度域を問わず車体側と密なコミュニケーションがとれている実感がある。重みはやや一貫性に欠けるが、正確さに不足はない。

結果的に、簡単かつ楽しく、穏やかにコントロールできる。ゆっくり走る場合は操作しやすく、モーターウェイではどっしりとしている。

少なからぬパッセンジャーが日常的に長距離を移動することが予想されるが、ストレスを感じるような不安な動きはまるでない。

コーナーにかなりの速度で侵入するとフロントから徐々に滑りはじめる。中腹ではサスペンションが内包するシンプルゆえの危うさが見え隠れするが、それでも狙いから逸脱することはない。

この際のトラクションは実に安心できる。ホイールスピンの心配は一切する必要がなく、控えめに介入してくれるESPシステムも頼りになる。

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