アルピーヌ・ルノー、2月16日にデビュー
公開 : 2016.01.30 22:40 更新 : 2017.06.01 01:38
ルノーは、アルピーヌ・ブランドのスポーツカーを2月16日に発表すると、ソーシャル・メディアで明らかにした。アルピーヌのTwitterには、「われわれは忘れ去られぬようにカムバックをアナウンスしたかった。」と短いコメントが記された。
ワールド・プレミアは、ジュネーブ・モーターショーになる予定で、かつて名声を得たA110のあとを継ぐA120というネーミングが与えられることになる。プロトタイプで使われたAS1という名前は使用されない。
このA120には、300psを越えるパワーを持つハードコア・バージョンも、デビュー後2年以内に予定されている。また、アップマーケットではSUV市場が賑やかになっているのに対し、アルピーヌ・ブランドのSUVも現在考慮されている模様だ。
ハードコア・バージョンとは別の、ハイパフォーマンス・バージョンについては、発表後1年以内に追加が予定さっれている。このハイパフォーマンス・バージョンは、今年のル・マン24時間の会場でプレビューされることになると予想される。
フランスの新聞の報道によれば、スタンダード・モデルもハイパフォーマンス・モデルも同様のクリオRSの1.6ℓに修正を掛けた1.8ℓのTCeエンジンがベースとなる。マウントはミドシップで、ルノー・タリスマンのために開発された7速デュアル・クラッチが組み合わせられる。
ハードコア・バージョンは、過激なターボチャージによって250psから300psのパワーを絞り出す。これは、ポルシェ・ケイマン3.4Sの320psに対抗するもの。確かにパワー自体は、ケイマンに及ばないものの、しかし、ケイマンの車重が1415kgなのに対し、アルピーヌは1100kgと軽いのが武器となる。
この最もチューニングの高いエンジンのためには、よりモディファイされたクーリング・システムが必要だったという。情報筋によれば、フロント・エンドのエアロダイナミクスとは別に、クルマの側面にダクトを設けてエアフローを採用したとのこと。このモディファイは、A120に視覚的な魅力を与えることにもなった。
シャシーはアルミニウム製。このプロジェクトが2013年に始まった時には目標は1000kgだった。この数値はカーボンファイバーを多用すれば達成できた数値ではあるが、コスト的に見合わなかった。そこで1100kgとなったようだ。
デザインもプロトタイプから変更を受けているようだ。フロントにはラリー・スタイルのLEDライトが追加されているが、これはモンテ・カルロ・ラリーでのA110の勝利を呼び起こすもの。それ以外は、大きな変更はない。コンセプトにあったレーシング・デカール類は当然外され、センター・ロック式のホイールは通常のものにはなっている。
インテリアは、エキシージのボディを被ったままテストされていたモデルでも、アウティTTのようなデジタル・ダッシュボードが使用さえるとスパイショットでは明らかになった。
エンジニアは、エンスージァストのために、バケット・シート、ペダル、ステアリング・ホイールの位置関係を最適化することに重点を置いたという。ちなみに、シフトは、シフト・レバーではなくパドルのみとなる。
価格は、ベース・モデルが£40,000(690万円)前後。そしてハイパフォーマンス・モデルが£50,000(860万円)になると予想される。
2015年のル・マンに登場したアルピーヌ・セレブレーション・コンセプト
2015年のル・マン24時間レースにて、公式にはアルピーヌ・セレブレーションと呼ばれるコンセプト・モデルが姿を現した。
言うまでもなくこのクルマはアルピーヌ史上もっとも著名なモデルであるA110ベルリネッタのデザイン言語から影響を受けたもの。
リア・ビューはより現代的になっているが、ショルダー・ラインや後輪の後方、ブルーとオレンジのボディ・カラーは往年のA110を思い起こさせる。
アルピーヌのデザイン部門のトップ、アントニー・ビランは「60年におよぶアルピーヌのスタイリングとレース界での功績をこのクルマで表現しました。ただしこれは単なる再現ではなく、これからのアルピーヌの発展を具現化したモデルでもあるのです」と語った。
機械要素に関する情報は一切明かされていないが、ミド・エンジン・レイアウトになることはコンセプトからもほぼ確実であり、2012年にアルピーヌのケータハムが協業して計画するモデルの後継的な役回りと理解してよさそうだ。
このクルマが姿を現すまでのアルピーヌ製コンセプトといえば、2012年にデビューしたA110-50が記憶に新しい。このコンセプトは、レース用マシンとして仕立てられたルノー・メガーヌ・トロフィーV6エンジンを搭載していた。
しかしながら、ノルドシュライフェてテストをしている姿を目撃されたロータス製のボディをモディファイしたセレブレーションの製品版は、かつてのA110がそうであったように、控えめなパワーを有する4気筒ガソリンが後輪を駆動するという手法をとったようだ。
予想される最高出力は254ps程度となることから、ルノー・クリオが搭載する1.6ℓユニットというよりもむしろ、ルノースポール・メガーヌの2.0ℓユニットがスワップされる可能性が高い。
さらにマニュアル・ギアボックスよりもデュアル・クラッチ・トランスミッションを搭載することが濃厚のようだ。
ルノーのデザイン責任者であるローレンス・ヴァン・デン・アッカーは、「20年以上の時を経たアルピーヌの新しいチャレンジとなるが、信頼に足るものになると言えるだろう。まずはそのベースとなるモデルを作る必要があった。911のアルピーヌ版とも言えるモデルをリリースし、もし正しく評価を受けるのであればパナメーラのようなモデルも造り上げることができる。」とコメントしている。
ケータハムとの関連性は?
当初、このプロジェクトはイギリスのケータハムとの共同事業だった。ケータハム製のスポーツカーはC120という内部コードが付けられている。
ケータハムがルノーと共同で開発した技術を利用し続けていると思われる。また、そのため、ノーフォークにあるテック・センターで何人かが職を失ったことを認めている。
ミドエンジン・プラットフォームと生産設備を使用するために、破産したドイツのスポーツカー・メーカー、オルテガの設備を手に入れたのではという噂もあったが、関係筋はこれを一蹴している。
ケータハムのC120は、およそ300psのエンジンを搭載するという。既に、A120とC120との間の共通点は、ミドエンジン、リア・ドライブということぐらいで、ボディもインテリアも異なり、ハンドリングやドライビング・キャラクターも異なるモデルであるという。
ケータハムもご多分に漏れず、最初のモデルをデビューさせた後、様々なアウトプット・パワーをもったバージョンを追加する計画でいる。
アルピーヌのボス、ベルナルド・オリバーとの一問一答
プロダクション・モデルが決定したということか?
われわれはアルピーヌというブランドを再起動させることになる。これは自動車マーケットに中でも非常に珍しい出来事だ。予想されるユーザーがどのようなことを期待しているかも明確ではないし、われわれがどのような収益性を得るのかも不明だ。
昨年、アルピーヌ・セレブレーション・コンセプトを公開した。このモデルのバッジが、アルピーヌではなく、ルノースポールや、ポルシェ、ロータスだったらどうとらえられたのかということを考えると興味深い。興味を持ってくれたということが一番重要であるが、どんな人々が興味を持ってくれているのかということが重要だ。恐らく、ポルシェやルノースポールとは違った層であると思う。
アルピーヌには、アルピーヌのDNAを受け継ぐ必要がある。それは軽くて速くファン・トゥ・ドライブなことだ。そのために、最新のテクノロジーが注ぎ込まれたクルマでなければならない。それと同時に、アルピーヌのヘリテッジを引き継ぐ存在でなければならない。そのバランスをとるのは非常に難しい作業だった。
デザインとのバランスは?
デザインは非常に重要なファクターだ。一般にクルマの購入を決定づける80%の要素がデザインだと言われている。その後に、クルマのポジショニング、パフォーマンス、快適性、経済性などが考えられるという。
発売後の市場をどう考えているか
フランスはかなり小さい市場だ。そのため、ドイツ、イギリス、日本などを主要なマーケットとして考えている。特に、イギリス人がこういったクルマを好きなことは分かっている。
アルピーヌのDNAというものは、決して他のメーカーが真似できるものではない。特に、軽量化とパワーのバランスをうまくとるのがアルピーヌのDNAのうちのひとつだ。
ロードカーを造るというのはチャレンジングな仕事だったか?
われわれの挑戦はわれわれに何を求めているかという市場との戦いだった。ほとんどの市場が様々なメーカーで埋められてしまっている中、居場所を探さなければならなかった。そのためユニークである必要があった。
われわれがロータスやポルシェをコピーすれば成功するのだろうか。そうではない。アルピーヌはロータスともポルシェとも異なったクルマなのだ。
プロダクション・モデルについて現状で話できることは
毎日使うことのできるクルマで、シンプルであり流れるような美しさをもったデザインであるということ。そして何よりスペシャルなクルマであるということだ。
このようなクルマは、いまほとんど市場にないと考えている。だから、われわれが造る意味があると考えている。アルピーヌのための市場があると確信したからこそ、A120をリリースできるのだ。
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